相続に必要な書類

2022年6月22日

プロローグ

相続手続きを完了させるには様々な書類を収集・作成する必要がありますが、相続に必要な書類は数が多くて、わかりにくく集めにくいものです。

今回は複雑な相続手続きをスムーズにするべく、各相続の流れに必要な書類についてご説明します。

 

相続手続きについて

まずは相続の基本的な流れをおさらいしましょう。

 

 

相続の手続きは期限が決められているので注意が必要です。

 

相続に必要な書類

次に、書類について説明していきます。

必ず必要になるものと、当てはまる場合のみ必要なものがありますが、今回は両方ともご説明します。

 

死亡届 

相続は被相続人の死から発生するので、被相続人の死を知ってから7日以内に、役所に死亡届を提出しましょう。

死亡した場所、死亡した方の本籍地、届出人の居住地の市区町村の役所でも届け出ることができます。

用紙は役所や病院の受付に備えられているほか、役所のホームページからダウンロードすることもできます。

死亡届の用紙は、左側が死亡届、右側は死亡診断書となっており、左側を届出人が、右側を医師が記入します。

 

役所や保険会社など複数の提出先で必要になるため、必ずコピーを取っておきましょう

 

被相続人と相続人の確認書類

相続人は親しい身内だけとは限りません。

家族の知らない相続人がいる可能性もあるので、まずは相続人の確認のために戸籍調査をしましょう。

被相続人と相続人の確認書類はこの後の相続手続きにも度々必要になってきます。

 

被相続人の戸籍謄本・住民票

被相続人の出生から死亡まで途切れのない戸籍謄本が必要になります。死亡時から出生時までさかのぼって取得します。

 

相続人全員の戸籍謄本

相続人の生存と被相続人との関係を確認するために必要になります。

戸籍謄本は相続人の本籍地の役所から取り寄せますが、その際に世帯全員分を取得します。

 

 

相続財産の調査に必要な書類

相続人の確定と並んで大事なプロセスが「相続財産の調査」です。

以下の表に必要書類をまとめました。

財産の種類 調査方法
不動産 登記簿謄本、固定資産納税通知書、権利書(登記識別情報通知、登記済証)
借地・借地権 登記簿謄本、賃貸借契約書、不動産会社へ問い合わせ
貯金・現金 キャッシュカード、金融機関の残高証明、自宅金庫の確認
生命保険金 保険証券、保険会社へ問い合わせ
株式・有価証券 証券会社の通知書、自宅金庫も調べ場合によっては証券会社へ問い合わせ
自動車 車検証等
宝石・貴金属 自宅や金庫を確認

 

 

相続放棄・限定承認に必要な書類

全ての相続財産を継いでしまったら不利益が生じるということもあります。

そんなときの選択肢が相続放棄もしくは限定承認です。

相続放棄または限定承認する場合は3カ月以内に家庭裁判所に申し入れをしなければいけません。

何もしなければ自動的に相続財産を全部受け継ぐことになります。

 

相続放棄の必要書類

・相続放棄申述書

家庭裁判所へ行って入手するか、家庭裁判所のホームページからダウンロードして入手します。 

・被相続人の住民票除票・戸籍の除票

住民票の除票は被相続人が住民登録していた自治体の役所で、戸籍の除票は被相続人の本籍のあった自治体の役所で入手できます。

・相続人の住民票・戸籍謄本

申請者が孫・兄弟姉妹の場合、被相続人の出生から死亡まで途切れのない戸籍謄本が必要になるケースもあります。

 

限定承認の必要書類

・限定承認陳述書

・被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、または法定相続情報証明制度に基づく証明書

・被相続人の住民票除票または戸籍の附票

・相続人全員の戸籍謄本、住民票

限定承認の場合は、相続放棄と違って相続人全員で申述する必要があります。

 

準確定申告

被相続人が以下の条件に当てはまる場合は、相続人が代理で確定申告を行う「準確定申告」が必要です。相続開始から4カ月以内という期限があります。

・個人事業主

・給与が年2000万円以上の人

・年金などが年400万円以上の人

・2カ所以上から給与を受け取っている人

・給与以外に年20万円以上収入がある人

・不動産などの賃貸収入・売却収入のある人

・生命保険や損害保険の一時金・満期金を受け取った人

・医療費や保険料など、所得控除の対象となる費用がある人

 

被相続人が税理士事務所と契約していたら、その税理士に準確定申告書を作成してもらうとよいでしょう。

他の手続きよりも時間がかかるため、早めの準備が求められます。

 

 

遺産分割協議書の作成

相続人全員が参加する遺産の分け方の話し合い「遺産分割協議」が整ったら、その結果を記した「遺産分割協議書」の作成に入りましょう。

この書類がないと、不動産の相続登記や預金口座の名義変更・解約ができないことがあります。

決まった書式はありませんが、相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必須です。

保管用、提出用、予備の分として念のため相続人の数+2部程度作成すると良いでしょう。

 

遺産分割協議書の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓

(遺産分割協議書について知っておきたいこと)

 

相続登記に必要な書類

被相続人名義の不動産の名義を相続人の名義に変更する手続きです。

遺言書による相続登記、法定相続分割合における相続登記、遺産分割協議書における相続登記、と3パターンが考えられます。

 

各パターンに必要な書類を以下の表にまとめました。

遺言書による

相続登記

法定相続分割合における

相続登記

遺産分割協議書における

相続登記

相続人関係の書類

・相続登記する不動産を取得する相続人の戸籍謄本

・住民票

相続人関係の書類

・相続人全員の戸籍謄本

・住民票

相続人関係の書類

・相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明

・相続登記する不動産を取得する相続人の住民票

遺言書

(公正証書遺言以外は家庭裁判所で検認したことを証明する書類を添付)

遺産分割協議書

相続人全員の署名・捺印済みのもの

上記に共通して必要な書類

相続人関係の書類

被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)被相続人の住民票除票

固定資産税評価証明書

相続登記する不動産所在地の市町村の役所で取得

登記申請書

法務局のホームページからダウンロード

相続登記を司法書士に依頼する場合は「委任状」も必要になります。

 

 

相続税の申告に必要な書類

一定額以上の相続財産には相続税が発生します。

相続税の申告には、被相続人の死亡を証明するもの、相続人を確認するもの、相続した財産を証明する書類、特例を受ける場合は特例を受けるための書類が必要になります。

相続税申告の必要書類一覧表
法定相続人を明らかにする為の書類 不動産の評価
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明
・相続人になり得た人の戸籍謄本
・遺言があればその写し
・遺産分割協議書があればその写し
・不動産の名寄帳または課税証明書
・固定資産税評価明細書
・登記事項証明書
・土地の測量図、公図
死亡保険金の金額
・生命保険金の払込通知書
・生命保険保険証書
・火災保険等保険証書
・解約返戻金がわかる書類
相続税の特例の適用を受ける場合に必要な書類 金融資産の評価
・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの
・被相続人戸籍の附票の写し
・遺言書または遺産分割協議書の写し
・相続人の住民票
・相続人の身元確認書類
・相続人の印鑑証明書 等
その他、相続人が誰かによって提出書類が変わってきます。
・残高証明書
・5年分ほどの過去の通帳
・評価額証明書
その他財産の評価
・死亡退職金の支払通知書
・車検証の写し、評価額の根拠
・ゴルフ会員権、預託金証書の写し、根拠
・貸付金がある場合、貸付金の金融消費
貸借契約書
債務・葬式費用の金額
・借入がある場合残高証明書、金銭消費賃借書
・葬儀等にかかった費用の領収書
・医療費や税金等の領収書

 

 

特例を受ける場合の添付書類について

添付義務のある書類については、上記の法定相続人を明らかにするための書類も必須書類となります。

また、特例を受けるとなると別途書類が必要になり、使いたい特例ごとに必要な書類が変わってきます。

 

自宅敷地で小規模宅地等の特例を使う場合 

・住民票の写し

被相続人と一緒に住んでいた土地を相続したとき、土地が330㎡までであれば80%減額される特例です。

相続税の申告書に自宅敷地を取得する人の住民票の写しを添付する必要があります。

役所等で発行してもらった住民票の写しの原本でなければなりません。

発行してもらった住民票をコピーしたものではダメなので注意しましょう。

 

家なき子特例を使う場合

家なき子特例とは、持ち家がなく、被相続人と同居していなかった相続人が使える特例です。

・戸籍の附票の写し

戸籍の附票とはこれまでの住所の変遷が書かれたもので、被相続人が亡くなった後に作成されたものを添付します。「法定相続情報一覧図の写し」の添付でも大丈夫です。

・3年以内の住所が自分または配偶者の持ち家でないことを証明する書類

賃貸借契約書か相続開始前3年以内に住んでいた家屋の登記簿謄本が想定されます。 

・相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがなかったことを証明する書類

上記と同じく、賃貸借契約書か家屋の登記簿謄本が該当します。

 

 

遺産が未分割の場合

遺産分割協議がまとまらない場合、上記の特例を適用することができません。

 

相続税の申告期限までにまとまりそうにない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しましょう。

相続税申告後3年以内に遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議後2カ月以内に相続税の更正の請求書を提出することで特例を受けられるようになるからです。

 

申告期限後3年以内の分割見込書は国税庁のホームページからダウンロードできます。

 

 

エピローグ

相続に必要な書類を集めるには多くの手間と時間がかかるもので、仕事と並行しながら時間を調整して手続きするのは困難を伴います。

 

そんなときはぜひ司法書士事務所を頼ってください。相続の専門家として、あなたの相続手続きを代行することができます。

 

 

 

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