遺言書の捜索と遺言書の検認
目次
プロローグ
たとえば、ご自身の両親や配偶者が亡くなられた場合、悲痛な思いで何も手に付かない状態になってしまうと思います。
それでも、悲しい出来事と共に相続は開始されます。
相続の手続きには、相続の開始を知った翌日から3ケ月という期限があるため、悲しい気持ちを抑えて相続手続きを行うことになります。
まず行うのは遺言書の存在の確認です。遺言書が存在していた場合には、遺言書の種類によって裁判所で検認をしてもらわなければなりません。
この記事では、「遺言書の捜索」「遺言書の検認」について解説していきます。
遺言書の捜索
遺言者(両親や配偶者)の想いや意思を尊重するために、遺言書があるかどうかを探す「遺言書の捜索」を行います。
少し気持ちが落ち着いてきたら、遺言者が遺言書を作成していたかどうかを親族と話し合ってみましょう。
また、金庫がある場合は金庫の中や、被相続人が大切にしていた物の中身などを確認してみましょう。
遺言書の種類
遺言書が見つかった場合、その遺言書が「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」のどの種類で書かれたものかを確認します。
公正証書遺言の場合
原本は公証役場で保管されているため遺言書の正本や謄本を確認しても構いません。
公正証書遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓
(公正証書遺言)
自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合
この2つの遺言書は、家庭裁判所で「検認」の手続きを済ませてからでないと確認ができません。
検認を済ませずに開封してしまうと5万円以下の過料が課せられます。
自筆証書遺言で法務局の「自筆遺言保管制度」を利用されている場合、検認は不要となります。この場合は「遺言書情報証明書」の交付申請手続きを行います。
自筆証書遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓
(自筆証書遺言)
秘密証書遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓
(秘密証書遺言)
遺言書情報証明書の交付請求の手続き
自筆証書遺言を法務局で保管してあった場合、「遺言書情報証明書」を取得します。
遺言書はどこの遺言書保管所でも請求することができるため、まず、遺言書の交付請求先になる遺言書の保管所を決定します。
1.遺言書保管所が決定したら請求書を作成します
(請求書の書式は法務局のホームページからダウンロードできます。)
2.添付書類を揃えます
住所の記載がある法定相続情報一覧図を持っている場合
↳法定相続情報一覧図(住所記載あり)を添付します。
法定相続情報一覧図はあるが住所の記載はない場合
↳法定相続情報一覧図(住所記載なし)と相続人全員の住民票を添付します。
法定相続情報一覧図は持っていない場合
↳遺言者の出生から死亡まで全てが記載された個性期謄本/除籍謄本と相続人全員の戸籍謄本と住民票を添付します。
3.交付の請求予約をします
(法務局の手続き案内予約サービスから予約ができます。)
4.交付請求をします
【窓口請求の場合】
必要な書類を揃え、手数料納付用紙に遺言書情報証明書の手数料を貼付け窓口で申請します。
本人確認できるものが必要です。(運転免許証・マイナンバーカードなど)
【郵送請求の場合】
必要な書類を揃え、手数料納付用紙に遺言者情報証明書の手数料を貼付け、請求人の住所氏名を記載した返信用封筒を同封して郵送します。
遺言書情報証明書の交付を受けた場合、相続人全員に遺言書が保管されていることが通知されます。
遺言書の検認とは
自筆証書遺言・秘密証書遺言が存在した場合、紛失や破棄、発見者が内容を改ざんするなどのリスクを防ぐために家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。
検認日は遺言書の内容を確かにし、相続人全員に遺言書の存在と内容が知らされます。
遺言書の検認に必要な書類と手続の流れ
検認をする際に家庭裁判所に提出する書類は以下の通りです。
・検認に必要な申立書、当事者目録
・自筆証書遺言・秘密証書遺言いずれかの遺言書の原本とコピー
・遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・収入印紙・郵便切手など
遺言発見者または遺言書を託されていた人が検認の申立人となり、上記書類を揃え、遺言者が亡くなった時の住所地にある家庭裁判所で申立を行います。(申立は窓口でも郵送でも可能です。)
遺言書原本以外の書類を提出し、約1ヶ月程度で家庭裁判所から検認の日程調整の連絡が入ります。(日程調整後に相続人全員に出欠回答書、検認日の通知が郵送されます。)
検認日当日は、遺言書と申立に使用した印鑑を持って裁判所に行き、裁判所の職員と共に遺言書を開封し遺言書に記載してある内容・日付・筆跡などを確認します。
検認が終了したら「検認済証明」を申請し、検認済証明を貼付けた遺言書の返却を受け検認手続の完了となります。
エピローグ
ご家族の突然の訃報は誰しもが大きな悲しみで心を痛めてしまいます。
しかし、検認済証明が貼付された遺言書は、預貯金や不動産の相続手続きの際に必要となるものです。
遺言書は早めに見つけ、検認を済ませることが大切です。
但し、公正証書遺言の場合、遺言書の不備などが無いためその遺言書は有効となりますが、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、形式不備などでその遺言が無効になってしまう可能性があります。
いずれにしても、遺言者の意思や想いが遺された最後の手紙(遺言)ですので遺言書が見つかった場合は検認を済ませ内容を確認しましょう。
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