遺言書の撤回と内容変更

2022年10月5日

プロローグ

遺言書は、遺言者の意思や想いを伝えるための法律的な文書となります。

しかし、遺言書を作成して時間が経ち「遺言書を書いた時の気持ちと違う」、「やはり遺言書は遺さない」など気持ちに変化が起きることもあります。

今回は、そんな気持ちの変化で「書き直したい」「破棄したい」となった場合の対処法、「遺言書の撤回と内容変更」について解説します。

 

遺言書の効力

そもそも遺言書にはどういった効力があるのか見ていきましょう。

遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言という種類があり、いずれも遺言書に具体的な意思や思いを記し、遺言者の死後もその内容が尊重されるという効力があります。

 

遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓

リンク:(遺言書とは)

 

遺言の種類と方法

自筆証書遺言

遺言者が遺言書の全文を作成し、署名捺印して遺言者が保管する方法です。

自筆証書遺言の場合、色々な手続きは不要のため遺言方法としては身近に感じるものといえます。

自筆証書遺言の詳しい内容はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(自筆証書遺言)

 

公正証書遺言

遺言を遺す際、公証人と2名以上の証人が立ち合い「公正証書」で遺言書を作成する方法で、遺言書の保管は公証役場となります。

公正証書遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(公正証書遺言)

 

秘密証書遺言

自筆証書遺言と同様に、遺言書を作成し封をします。

その遺言書を公証役場に持参し、遺言書の存在を公証人と2名以上の証人が証明する方法です。

遺言書の存在のみ証明されるもので、内容は遺言者以外秘密にでき保管も遺言者が行います。

秘密証書遺言の詳しい説明はコチラをご参考下さい↓

リンク:(秘密証書遺言)

 

遺言書の撤回と内容変更

自筆証書遺言

自筆証書遺言は作成も保管も遺言者で行うことから「撤回」については遺言書を破棄すれば、その遺言書は無かったものとなります。

「内容変更」は、変更箇所が軽度であれば遺言書に直接訂正を入れ内容を変更することが可能です。

手順としては、

1.変更したい箇所に取消し線を入れ訂正印を押印します。

2.変更の趣旨・内容を記入し、署名します。

※この時、変更方法に不備があると遺言書が無効になってしまうため注意が必要です。

変更箇所が多数ある場合は、一度撤回して新たに作成した方が良いでしょう。

 

公正証書遺言

公正証書遺言は「撤回」も「内容変更」も、一度撤回して新たに作成するという方法になります。

※公正証書遺言は原本・謄本・正本があり、このうち原本は公証役場で保管されます。

遺言者には正本・謄本が渡されますが、正本や謄本を破棄しても撤回にはなりませんので注意が必要です。

 

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言書が入った封に公証人・証人・遺言者の署名が必要です。

また、遺言書で使用した印鑑と同じ印鑑で封印しているため、開封すると秘密証書遺言としての効力は無効になります。

「内容変更」については、遺言書を新たに作成するという方法になります。

※開封し内容変更した遺言書が、自筆証書遺言としての要件を満たしていれば自筆証書遺言として効力を認められる場合もあります。

 

法定撤回

遺言は遺言方法別に効力が違うといったことは無く、常に新しい遺言が尊重されます。

遺言の撤回を行わなくても、撤回したとみなされるケースがありますので以下で説明します。

 

・後に書いた遺言書の内容が以前書いた遺言書と矛盾する場合

内容変更の際、最初に「自宅は長男に相続させる」と記載し、新たに作成した遺言書に「自宅は次男に相続させる」と記載した場合、2つの遺言書に矛盾が生じます。

その場合は、新たに作成した「自宅は次男に相続させる」という遺言書の内容が優先され、最初に書いた「自宅は長男に相続させる」という内容は撤回したとみなされます。

 

・遺言者が遺贈する財産に対して減失や棄損をした場合

遺言書に「預金1,000万円をAさんに遺贈する」と記載した後で、遺言者が900万円使ってしまい残金が100万円となった場合には、900万円については撤回とみなされAさんには残金100万円が遺贈されます。

 

エピローグ

今回は、遺言書の撤回と内容変更の方法についてご紹介しました。

自筆証書遺言は遺言者が自ら保管でき、撤回や内容変更に関しても直接的に行えるというメリットがあります。

しかし、遺言者の死後、遺言書の紛失や形式不備などがあり無効になってしまうリスクもあります。

そういったトラブルを避けるために、2020年7月より法務局で「自筆証書遺言保管制度」が開始されました。

自筆証書遺言をお考えの方は、この制度を利用されてはいかがでしょう。

秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様に紛失や形式不備などのリスクがあります。

また、秘密証書遺言は相続の際に裁判所の検認が必要となりますので注意が必要です。

公正証書遺言は、遺言書の作成は公証人が携わり、公証役場で保管されるため、どの遺言の方法より安心で安全だといえるでしょう。

 

ご自身の想いを遺言書に託すことは何度でもできますし、取り消すこともできます。

また、遺言の作成方法も変更できます。

遺言をお考えの方は法の専門家である司法書士・弁護士などに相談し、「公正証書遺言」で想いを遺されることをお勧めします。

 

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