解散登記

2022年9月7日

プロローグ

ひとことで会社といっても、「株式会社」「有限会社」「合同会社」「一般社団法人」等様々な会社組織の形があります。

それぞれの会社が、会社法という法律に従い会社の設立・運営や管理を行っています。

その会社の中で、今回は株式会社に注目し、様々な理由で解散を決意した時に行う手続き「株式会社の解散登記」について解説していきます。

 

※会社の解散とは、営業を完全に終了し廃業することです。

 

会社法について

会社は、自由に解散をできるわけではありません。

解散を決めた場合は、会社法に従って手続きを行います。

会社に融資している銀行や企業等を法律的に保護し、精算手続きをしなければ会社を解散することはできないのです。

 

平成18年に施行された法律で、会社の設立・運営・管理・解散・清算等について定めてあり、法務省の所轄となります。

この会社法第471条、解散の事由に従い会社を解散することになります。

 

解散登記ついて

解散登記は、解散が決まったら最初にする手続きです。

会社が解散を決意する主な理由としては、「後継者問題」や「会社を存続できない」、「営業を停止している」など様々ですが、株主総会等で解散が決まった場合は解散と精算の手続きを完了し外部に公示する必要があります。

そのため、

1.所轄の法務局で解散と清算人選任の登記手続きを行います。

2.清算結了の登記手続きを行います。

手続きは上記の手順で行われ、清算結了の届け出を完了して会社の法人格が無くなります。

 

※法人格とは、日常に行使される権利・納税等の義務の主体となる可能性があると法律上で認められた権利能力を有する法人のことです。

 

解散登記の流れ

解散登記

・株主総会等で解散を決議し清算人を選任します。

・解散登記を行います。

 

清算手続き

・各機関へ解散の届け出をします。

・債権者へ公示と催告を行います。

・清算業務を行います。

・残余財産がある場合には株主等に分配します。

・精算確定申告を行います。

 

清算結了登記

・清算結了登記と清算結了の届け出を行い完了します。

 

会社法では、会社について2ケ月の債権申出期間を定めています。

このことから、清算人が選任されてから2ケ月は清算結了手続きができないため、上記の流れがスムーズに運んだ場合でも、実際の廃業までには3ケ月程の時間がかかります。

 

また、清算により債務が超過する可能性がある場合は、裁判所に基づき「特別清算手続き」または「破産手続き」を行います。

特別清算手続きとは、債務が超過してしまった会社に法的な手続きで清算を行うことで破産手続きと同様に裁判所が関わりますが、破産手続きより柔軟な手続きとなります。

しかし、特別清算手続きは債権者の同意が必要となりますので、難しい手続きになるかもしれません。

 

特別清算手続きは株式会社のみが対象となります。

 

解散登記に必要な書類

実際に解散登記と清算人選任登記に必要な書類は下記の通りです。

定款

会社の基本となる規則が記載された書面です。

登記申請書

申請書のひな型は法務局のホームページにあります。

印鑑届出書

会社の代表が清算人へ変わりますので、新たな代表者である清算人の届出書が必要になります。

株主総会議事録

株主総会で解散を決議した際は添付しなければなりません。

株主リスト

議決割合が2/3に達するまでの株主、または、議決件数上位10名の株主のいずれか少ない方の株主のリストを添付します。

清算人就任承諾書

株主総会で清算人が選任された場合や定款で定められた人が清算人となる場合。

(取締役が清算人になる場合や裁判所が選任した清算人の場合は不要です。)

清算人の印鑑証明書

清算人が印鑑届出書を提出した際の印鑑証明書で、取得から3カ月以内のものが必要です。

その他

登記事項全部証明書・本人確認証明書・会社の実印の印鑑証明書が必要な場合もあります。

 

登記申請には期限がありますので注意が必要です。

 

解散手続き中の禁止行為

・解散決議を行った場合、債権回収以外の営業はできません。

・移転や交換等会社の再編はできません。

・資本金の減額はできません。

・債権の弁済は、債権申出期間の経過後でなければできません。

・余剰金の配当をすることはできません。

・残余財産を株主に分配する場合、債務の弁済後となります。

等の制限があります。

これは、会社が解散によって清算するということを目的にしているためです。

 

解散登記を行わない場合

解散登記の手続きをしないで放置した場合、会社の継続に関わらず、「毎年法人税の申告義務・納税義務」が発生します。

また、会社の登記を放置していた場合には最高で100万円程の過料が発生する可能性があるというリスクがあります。

解散登記が完了するまでに時間が必要ですので、会社を解散する場合は、速やかに解散登記の手続きを進めた方が良いでしょう。

 

エピローグ

今回は、解散登記について説明しました。

解散登記から清算結了が完了するまでには、株主総会の議事録・登記申請書・各種届出書・債権者への公示と催告・確定申告・財産の分配等、複雑な手続きを行う必要があります。

解散登記完了までには3カ月程の時間が必要となりますが、不備やトラブル等があった場合さらに長い時間がかかります。

円滑に解散登記を履行するためには、専門家(弁護士・司法書士等)へご相談されることをお勧めします。

 

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