予備的遺言とは?

2023年10月4日

プロローグ

遺言は、遺言者の意思が尊重される最期の願いです。

遺言者が亡くなった後、遺された相続人が財産分与などの相続問題でトラブルにならないよう、遺言書に記した相手に財産が届くよう生前に準備します。

しかし、遺言書を作成した後に状況が変化することも少なくないため何度も遺言書を書き直す可能性や、遺言書に記載した相続人に万が一のことが起こり遺された相続人の間でトラブルになる可能性もあります。

そこで、万が一に備えて記載する予備的遺言という制度があります。

 

この記事では、遺言書を作成する上で有効となる「予備的遺言」について解説していきます。

 

 

遺言の方法

 

遺言には大きく分けると、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの方法があります。

・自筆証書遺言は、自身で作成し管理します。(保管申請後、法務局で保管が可能です。)

・公正証書遺言は、公証役場で遺言書を公証人に作成してもらい、公証役場で管理されます。

・秘密証書遺言は、公証人と2名以上の証人に遺言書の存在を証明してもらうものです。

封印しますので遺言書の内容は本人以外秘密にできます。また、遺言書の管理は自身で行えます。

 

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の詳しい内容はコチラをご参照下さい。↓

リンク:(自筆証書遺言について)

リンク:(公正証書遺言について前半)(公正証書遺言について後半

リンク:(秘密証書遺言いついて

 

 

予備的遺言とは

遺言者が財産を譲りたいと考えている相続人、または受遺者が万が一遺言者より先に亡くなってしまった場合に備えて、あらかじめ相続人を定めるというもの、または受遺者を予備的に決めておく遺言のことをいいます。「補充遺言」ともいいます。

※遺贈を受ける人、または法人。

 

例えば、遺言者に配偶者と2人の子供AとB(2人とも既婚で子供あり)がいる場合で、Aに1,000万円相続させる場合(例1)と、配偶者に全財産を相続させる場合(例2)をみていきます。

 

例1.遺言者は相続財産についてAに1,000万円相続させるという遺言書を作成しました。この場合、万が一Aが遺言者と同時、もしくは遺言者よりも先に亡くなってしまった際はAの相続分はその子供に相続されると思うのが一般的です。

しかし、実際にはAの相続分(1,000万円)に関する遺言書の部分は無効となり、また改めてAの相続分を遺産協議分割で決めることになります。

 

そのようなことが起こる場合に備えてAについての遺言書に、

  • 遺言者はAに対して1,000万円を相続させる
  • Aが遺言者と同時、若しくは先に亡くなった場合は、Aの財産はAの子供に相続させる

という項目を予備的に記載しておきます。

 

例2.遺言者は全財産を配偶者に相続させるという遺言書を作成しました。

この場合、万が一配偶者が遺言者より先に亡くなってしまった際は、配偶者が相続するはずだった全財産を誰が相続するのかを決めておくことも予備的遺言となります。

 

  • 配偶者に全財産を相続させる
  • 配偶者が遺言者と同時、若しくは先に亡くなった場合、配偶者の相続財産は〇〇に相続させる

という項目を予備的に記載しておきます。

 

このように、遺言者が財産を譲りたいと考えている人に万が一のことがあった場合に備えて、相続や遺贈を行う人を予備的に決めておく遺言が予備的遺言(補填遺言)です。

 

遺言書を作成して時が経つと、財産の内容が変化する、家族関係が変化するなど様々な変化が起こる可能性があります。

その時々に遺言書を再作成するという方法もありますが、再作成や手続きが煩わしくそのままになってしまう、遺言者が認知を患い遺言書の再作成ができないといった場合もあります。

そのような場合に備えるためにも予備的遺言(補填遺言)は有効といえます。

 

予備的遺言に必要な書類は?

予備的遺言を行う場合、自筆証書遺言、秘密証書遺言に関しては自身で作成管理するため必要な書類は必要ありません。

但し、秘密証書遺言の場合は封印していますので開封してしまうと遺言書の効力が無くなってしまう場合があります。

公正証書遺言の場合は、予備的遺言に記載する人の名前、住所、生年月日、遺言者との続柄など分かる書類(戸籍謄本や住民票など)を揃える必要があります。

 

 

エピローグ

 

今回は予備的遺言(補填遺言)という制度について説明しました。

高齢化社会となっている日本では、高齢の親より先に子が先立ってしまうといったケースは少なくないのではないでしょうか。

予備的遺言は、遺言者が決めた相続人に確実に財産を譲ることができる制度で、財産を譲る相続人の万が一に備えておけば、遺された相続人の間でトラブルになることなく財産を譲ることができます。

公正証書遺言は遺言書の作成から保管まで公証役場で手続きができます。

自筆証書遺言や秘密証書遺言は自身で作成することになりますので、予備的遺言についてよく理解し記載することが大切です。

遺言書作成は決まった書式があるため不備があった場合無効になることもあります。

きちんとした遺言書を作成する際は、法の専門家である司法書士に任せることをお勧めします。

 

 

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