不動産を相続する時の注意点
目次
プロローグ
家族など大切な人が亡くなった際には、亡くなった人の財産を相続人で譲り受ける「遺産相続」が行われます。
その際に、不動産を譲り受けることは少なくありません。
不動産には、家屋・土地・マンション・自動車など様々なものがありますが、この記事では建物・土地といった不動産を相続した場合の注意点について解説していきます。
相続手続き
相続発生時から7日以内に役所へ被相続人の死亡診断書を添付し死亡届の提出を行います。
また、相続税の申告には期限がありますので、死亡届の手続きに平行して遺言書の確認や相続財産の確認・相続人の調査・確定を行います。
遺言書がある場合には遺言書の確認を行い、遺言書に従って遺産分割を行います。
遺言書がない場合には、相続人間で話し合い(遺産分割協議)を行います。
遺産分割協議で協議した後は遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印する必要があります。
しかし、相続人全員が納得することは困難な場合があり、遺産分割協議が進まない場合は家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てます。
相続手続きは限られた期限の中で行わなければならず、相続財産に不動産が含まれている場合は更に膨大な書類と時間が必要になりますので、できるだけ早い段階から必要な書類を揃えた方が良いでしょう。
相続手続きに必要な書類の詳細はコチラをご参考ください。↓
(相続に必要な書類)
不動産手続きも考慮して、この段階で法律の専門家である司法書士等に任せるという選択も有効です。
不動産相続の手続きと注意点
遺言や遺産分割協議で相続人が決まった後、不動産を相続する相続人は名義変更の手続き(相続登記)を行います。
相続登記に必要な書類は、遺言書が存在する場合、遺産分割協議の場合、法定相続割合の場合と3つのパターンがあります。
3つに共通する書類としては、被相続人の出生から死亡まで連続した記載のある戸籍謄本、
固定資産税評価証明書、登記申請書があります。
その他、パターンにより相続人の戸籍謄本や遺言書や遺産分割協議書などの書類を揃える必要があります。
相続登記の詳細についてはコチラをご参考下さい。↓
注意点
・2024年から相続登記は義務化されます。
不動産を譲り受けた際には早めに相続登記を行いましょう。
・不動産を相続する場合は、できるだけ他の相続人との共有は避けましょう。
共有で相続した場合、不動産を増改築するときや賃貸にするなど、あらゆる場面で相続人全員の許可が必要になり手続きも複雑になります。
相続割合
不動産を相続し、相続人が複数で他の相続人と共有になった場合は、遺産協議分割書で相続割合を決めます。
しかし、不動産を複数人で分けることは簡単ではありませんので、不動産の相続が複数人になった場合の分割相続には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割という4つの分割方法があります。
現物分割
共有の不動産を、登記上は1つの土地を複数に分けて登記するという分割方法です。
代償分割
相続した不動産を代表する相続人が譲り受け、他の相続人に対して代償金(相続分の現金)を支払う分割方法です。
換価分割
相続した不動産を売却し、売却金を相続人で分けるという分割方法です。
共有分割
相続した不動産を相続人となった全員で共有するという分割方法です。
※共有分割は上記の注意点に記した通り、トラブルになる可能性が高いのでできるだけ避けた方が良いでしょう。
控除について
相続税は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除があります。
被相続人から譲り受けた相続財産がこの範囲であれば相続税はかかりません。
しかし、相続財産に不動産が含まれていた場合、基礎控除を超える可能性がありますので事前に相続税の計算を行う必要があります。
その他、小規模宅地等の特例※や配偶者控除※などを受ける場合には相続税の申告が必要になります。
相続税の申告期限は、亡くなった人(被相続人)の死を知った翌日から10ヶ月以内に行なわなければなりませんので注意しましょう。
※小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた土地などにおいて相続人が一定の要件を満たしている場合、相続税評価額を最大で80%減額できる制度です。
※配偶者控除とは、配偶者の相続財産が1億6,000万円を超えても法定相続分であれば非課税となる制度です。
エピローグ
今回は、不動産を相続する時の注意点をお話しました。
不動産を譲り受けた場合は、相続登記、遺産協議分割、相続税の申告など、10ヶ月という限られた期限の中で膨大な必要書類を揃え手続きを行う必要があるため特に注意が必要となります。
また、相続人の中でトラブルや揉め事など起こり遺産分割調停を行う場合には、さらに複雑な手続きを行なわなければならず困難で時間も要します。
相続に関する手続きは、もちろん相続人ご自身で行うことも可能です。
しかし、手続きが困難で注意する点も多いことから、相続発生から手続き完了まで任せることができる司法書士に依頼することをお勧めします。
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