生前贈与 ①

2023年1月11日

プロローグ

生前贈与とは、財産を譲る人(贈与者)が生きているうちに、特定の人に無償で財産を譲るものです。

亡くなられた方の財産を相続人が譲り受ける場合は「相続」となります。

生前贈与を行う理由としては、相続の準備、住宅取得資金や増改築資金、教育資金などがあり、相続対策としても利用されています。

 

生前贈与を利用する際は注意点もありますので、まずは生前贈与について知ることが大切です。

今回は、生前贈与について解説していきます。

 

生前贈与とは

生前贈与は「法的な約束」となり、贈与される人(受贈者)の承諾のもと贈与者が生きているうちに受贈者(配偶者や子供など)に財産を贈与することで相続税の節税に効果的なものとなっています。

また、受贈者は早い段階で財産が手に入りますので、教育資金や住宅の購入・増改築の負担が軽くなるというメリットがあります。

しかし、受贈者は財産を譲り受けることになりますので贈与税が発生します。

相続税の節税に効果がある反面、贈与税の課税対象となることから相続税と贈与税どちらが節税になるかを見定める必要があります。

 

生前贈与の対象となるものは、現金や預貯金、家や土地などの不動産、自動車、有価証券などの金融商品、貴金属などがあります。

 

贈与する相手の選択

生前贈与は、贈与者が贈与する相手や財産など自由に決めることができます。

そのため、特定の人に財産を譲りたい場合には生前贈与の選択は効果的です。

また、相続時に争いごとなど起こらないよう、トラブル回避のためにも効果的な方法となっています。

 

<注意点>

贈与者は実際に財産を受贈者に贈与した場合、贈与した財産の詳細を記載し、相続分がないことを記載した遺言書の作成が必要になります。

また、贈与財産が不動産の場合は贈与税の他に税金や手数料が発生します。

 

相続分・贈与一体課税

生前贈与に関する法改正は現在のところありませんが、将来的には相続税と贈与税を一体化する「相続・贈与一体課税」が検討されています。

これは、所得格差を軽減するために諸外国と比較しながら検討されているものです。

相続・贈与一体課税は、財産を相続により譲渡しても、贈与で譲渡しても課税額は同一という改正になっており、この制度が取り入れられた場合は贈与による節税対策はできなくなってしまいます。

 

生前贈与は、基礎控除110万円以下であれば贈与税が発生しないため1年間で110万円以下の贈与を重ねて行う「暦年贈与」を利用します。

例えば、子供2名に贈与を行った場合は、1年間に220万円が非課税で贈与できることになります。

この方法で5年間贈与を行った場合、220万円×5年=1,100万円が贈与でき、この1,100万円は相続税の計算対象外となり相続税の節税に効果的なものになります。

しかし、相続・贈与一体課税が取り入れられると110万円以下の非課税枠の利用が出来なくなってしまいます。

※暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与額が110万円までは非課税という仕組みを利用した方法です。

 

また生前贈与は現在、贈与後3年以内に贈与者が亡くなられた場合、贈与された財産は相続に持ち戻され相続税の計算対象となっています。

この3年以内の期間が10年以内~15年以内に延長されると考えられています。

つまり、3年以内の期間が延長されることで相続税の計算対象となる期間が多くなり、贈与による節税が難しくなってしまう可能性があります。

 

このことから、生前贈与を検討されている方は早めに贈与手続きを行う方が良いでしょう。

また、生前贈与を正確に行うためにも法の専門家(司法書士・弁護士等)にご相談されることをお勧めします。

 

 

一括贈与の非課税の特例

贈与税が非課税になる方法はいくつかありますが、その中で期限が決まっているものをご紹介します。

 

教育資金の一括贈与非課税の特例の利用(2023年3月31日まで)

30歳未満の子供や孫などに対して、教育資金(入学金・授業料・寮費・通学交通費・修学旅行など)を贈与する場合、最大1,500万円まで非課税となります。

また、習いごとや塾なども500万円まで適用されます。

※習いごとや塾の場合、23歳以下が対象です。

※受贈者の所得が1,000万円超の場合は対象外となります。

 

結婚・子育て資金の一括贈与非課税の特例の利用(2023年3月31日まで)

20歳以上50歳未満の子供や孫に対して、結婚・出産・子育て資金を贈与する場合は、受贈者1名ごとに最大1,000万円までが非課税となります。

※結婚の場合は最大300万円までとなります。

受贈者の所得が1,000万円超の場合対は象外となります。

 

住宅取得資金の贈与特例の利用(2023年12月31日まで)

贈与者が贈与を行うことで、子供や孫などが住宅を新築・増改築するための費用として利用することができます。

契約日や季節、住宅の種類などにより異なりますが、最大で3,000万円が非課税枠として設定されています。

 

<注意点>

住宅取得資金の贈与特例は様々な適用要件がありますので以下で紹介します。

・受贈者が贈与された年の1月1日に20歳以上である

・受贈者の贈与された年の所得が2,000万円以下である

・贈与された年の翌年3月15日までに、住宅取得資金の全額を充当して居住用の住宅を新築・増改築する(また、この期間内に居住する、または居住することが確実である)

・対象となる家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、家屋の床面積が1/2以上が居住用である

などの要件があります。

この特例の利用には、贈与された年の翌年の確定申告期間内に税務署へ戸籍謄本や登記事項証明書などの書類を添付して贈与税の申告を行う必要があります。

※実際に、この特例を利用して非課税になる金額はそれぞれ違いますので、事前に税務署へ確認した方が良いでしょう。

 

 

エピローグ

今回の記事では、生前贈与について、期限が決まっている非課税の特例についてお話しました。

生前贈与は法に従った贈与の方法で、贈与者、受贈者で契約を結び進めるものです。

生前贈与を行う際には、後々トラブルにならないよう法の専門家である司法書士・弁護士等に相談し進めて行く方が良いでしょう。

 

次回の記事では、暦年贈与・相続時精算課税制度について、配偶者控除、不動産の贈与について解説します。

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