亡くなった時に贈与する??「死因贈与」とは

2023年12月6日

プロローグ

贈与とは、自身の財産を無償で譲ることです。

財産を無償で譲る方法には、生前贈与遺贈、死因贈与といった様々なものがあります。

まず、生前贈与や遺贈、死因贈与とはどのようなものか見ていきます。

 

「生前贈与」

贈与者(財産を譲る人)が生きているうちに無償で受贈者(譲り受ける人)に財産を譲ることを「生前贈与」といい、財産を譲りたい人に譲渡することができ、相続税の節税にも効果的な場合があります。

生前贈与についての詳細はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(生前贈与 ①)、(生前贈与 ②)

 

「遺贈」

遺言により、遺贈者(財産を譲る人)の財産の全部、または一部を無償で受贈者(譲る受ける人)に譲ることをいいます。

遺贈についての詳細はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(遺贈:いぞう)

 

死因贈与」

贈与者(財産を譲る人)が亡くなることにより効力が発生します。

ご自身が亡くなった時に財産が贈与されるという点では遺贈と同じ性質と思われるかもしれませんが、遺贈と死因贈与は異なります。

 

今回は亡くなった時に効力を発揮する「死因贈与」について、遺贈との違いやメリットと注意点も解説していきます。

 

 

死因贈与と遺贈の違い

 

死因贈与は、生前に贈与者と受贈者が契約を結び、贈与者が亡くなることにより効力が生じる贈与です。(民法554条)

また、「同居して面倒を見て欲しい」や「老後のサポートをしてほしい」といった贈与者への義務や負担を約束する負担付死因贈与契約を結ぶことも可能です。

死因贈与契約は口頭でも成立しますが、後々のトラブル回避のため契約書を作成しておいた方が良いでしょう。

 

一方遺贈は、贈与者が亡くなった後で効力が生じるという点では死因贈与と同じですが、遺言書を作成しますので贈与の意思表示はありますが、契約を結ぶことはありません。

また、遺贈にも受遺者に財産を相続する代わりに一定の債務(義務)を負担してもらう負担付遺贈があります。

 

死因贈与のメリットと注意点

【メリット】

・譲りたい相手に負担させることができる

負担付死因贈与契約をすることで、贈与者の具体的負担(同居して面倒みてほしいなど)を依頼することができます。

 

・口頭でも契約できる

死因贈与は口頭で契約が成立しますが、後々トラブルが起こる可能性があります。

トラブル回避のため契約書作成をお勧めします。

 

受贈者は一度負担が履行された場合は撤回ができなくなるという点で確実に財産を受け取れるというメリットがあります。

また、譲り受ける財産を予め知ることができます。

 

【注意点】

・受贈者との契約

死因贈与は、受贈者になる人の同意がなければ契約を結ぶことはできません。

また、契約は口頭でも成立しますが公正証書で契約を結ぶことをお勧めします。

※公正証書で契約を結んでおくことで、贈与が不動産であった場合などの時に登記のための必要書類が揃えやすく、スムーズに手続きをすることができます。

 

・契約書を作成していないとトラブルになる可能性

贈与者が亡くなった後で、受贈者が死因贈与契約を結んだと主張しても契約書がなければ証明することができずトラブルになってしまう可能性があります。

 

・課税対象の問題

死因贈与は相続税の課税対象となりますので、10ケ月以内に相続税の申告と納税を完了させなければなりません。

受贈者が配偶者と1親等血族(主に子)ではない場合には2割の加算が生じます。

また、法定相続人と一緒に相続税の申告手続きを行わなければなりません。

さらに財産が不動産の場合、不動産取得税と登録免許税の課税対象となります。

この場合、遺贈で不動産を取得した場合よりも登記免許税や不動産取得税が高くなってしまいます。

種類 税率
死因贈与 相続・遺贈
法定相続人 法定相続人

以外の人

法定相続人 法定相続人

以外の人

不動産取得税 4%

※軽減措置あり

なし 4%

※特定遺贈のみ

 軽減措置あり

登録免許税 2% 0.4% 2%

 

※不動産取得税には、住宅の取得に関して3%の軽減税率が適用されます。

また、新築住宅や中古住宅に対して課税標準額から一定の金額を控除する軽減措置があります。

詳しくは国土交通省HPをご参考下さい。↓

(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000020.html)

 例えば、500万円の不動産を受贈した場合で上記の表の通り単純計算してみます。

死因贈与の場合は、500万円×4%=20万円の不動産取得税と、500万円×2%=10万円の登録免許税で合計30万円の税金が発生します。

遺贈(受贈者が法定相続人)の場合、500万円×0.4%=2万円の登録免許税のみで不動産取得税はありません。

死因贈与と遺贈を比較した場合、28万円の差が生じてしまいます。

 

死因贈与契約の撤回

死因贈与契約は、基本的にいつでも撤回することが可能です。

しかし負担付死因贈与の場合は、一部であっても契約通りの負担が履行されていた場合には撤回が認められない可能性があります。

 

 

エピローグ

 

相続という問題は人生において何度も経験するものではなく、法律的な言葉をよく知っているという人は少ないと思います。

贈与の方法についても、いくつもあり混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。

どの方法で贈与するのかは、それぞれの事情で異なります。

ご自身が贈与を検討した際、どの方法が一番適切な方法なのか一度ゆっくり考えてみるのも良いでしょう。

どの方法にするかお悩みの場合は法律の専門家(司法書士・弁護士等)に相談してみましょう。

 

 

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また、相続登記の義務化に伴うお手続きや、不動産売買などのご相談も承っております。

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