遺言書を探す方法「遺言検索システム」について
目次
プロローグ
自身が亡くなった後で遺された大切な人たちが財産を巡り争わないように、特定の人に確実に財産を譲れるようにと、自身の最後の想いを伝えることができる「遺言書」。
遺言書は近年、年齢に関係なく作成する人が増えています。
しかし、遺された相続人に何も伝えないまま亡くなられた場合、相続人は遺言が遺してあるのかどうか知る由もなく、せっかく作成した遺言書が見つからないままになってしまうことも…
また、ご自身でも保管場所を忘れてしまった、紛失したなどあるかもしれません。
今回は遺言書を探す方法のひとつ「遺言検索システム」について解説していきます。
遺言の3つの方法
遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言という3つの方法があります。
・自身で作成し保管する「自筆証書遺言」
・公証役場で作成し保管してもらう「公正証書遺言」
・遺言の存在のみ証明してもらい遺言の内容は秘密にして自身で保管する「秘密証書遺言」
この3つのうち公証役場で遺言書の原本を保管する公正証書遺言は、遺言検索システムが利用できます。
遺言検索システムとは?
遺言検索システムとは、日本公証人連合会が運用する公正証書遺言のデータを管理するシステムで、公正証書遺言を作成すると遺言書を作成した人の名前・生年月日・作成日・作成した公証人などの情報が管理されます。
管理されている情報は検索が可能で、法定相続人や受遺者、遺言執行者、それぞれの代理人であれば公正証書遺言の有無や内容を確認できます。
※遺言者が健在の場合は、本人と本人の代理人のみとなります。
遺言検索システムを利用する際の必要書類
【遺言者が健在の場合】
遺言者が健在の場合は、遺言者とその代理人以外は遺言検索システムを利用することができません。
本人が利用する場合も本人確認資料が必要です。
また、本人の代理人でも可能。この場合、遺言者の委任状、印鑑証明書、代理人の本人確認書が必要です。
【遺言者が亡くなられている場合】
・遺言者が亡くなったことを証明する書類(除籍謄本・死亡診断書等)
・遺言者と遺言検索システムを利用する人の関係が分かる書類(戸籍謄本)
・遺言検索システムを利用するする人の本人確認(マイナンバーカード・免許証・パスポート等)
代理人に依頼した場合、上記書類の他に必要なものがあります。
・相続人の印鑑証明書(発行から3ケ月以内のもの)
・代理人の本人確認書(印鑑証明書・実印・マイナンバーカード・免許証・パスポート等)
公正証書遺言の内容を確認する場所
遺言の確認は全国のどの公証役場でも可能です。
公証人から照会者(利用する人)に対して、公正証書遺言の有無と保管してある公証役場が伝えられます。
遺言の内容を知るためには、相続人が遺言書の原本が保管されている公証役場に「公正証書謄本交付手続き」を行うことになります。
また、原本が保管されている公証役場が、照会者が住んでいる場所から遠い場合は郵送で請求することも可能です。
自筆証書遺言・秘密証書遺言の検索方法
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、ご自身で作成・保管ができるので遺言の方法の中では身近に感じる遺言の方法です。
しかし遺言の存在を誰にも伝えず保管していた場合、誰にも遺言の存在が気付かれないといったトラブルが起こる可能性もあります。
そういった場合に備えて、自筆証書遺言は「自筆証書遺言保管制度」という法務局で遺言書を保管してもらえる制度がありますのでその制度を利用されるのも良いでしょう。
また保管する際には、自身の遺言書が民法の定める形式に合っているかも確認してもらえます。
自筆証書遺言保管制度についてはコチラでも解説しています。ご参考下さい。↓
リンク:(自筆証書遺言について)
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、公証役場で遺言の存在を証明してもらいますので、公証役場で遺言の有無は確認できます。
しかし自身で保管するため、遺言の存在を誰にも知らせていない場合、遺された相続人は遺言書の保管場所どころか遺言書の存在すらも分からず、せっかく作成した遺言書が見つからないままになってしまうこともあるため注意が必要です。
秘密証書遺言の詳細はコチラをご参考下さい。↓
リンク:(秘密証書遺言について)
エピローグ
遺言検索システムは、遺言方法が公正証書遺言の場合に限られます。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書の存在を誰にも伝えず保管場所も伝えていない場合、せっかく書いた遺言書が発見されないといったパターンも少なくありません。
自筆証書遺言で遺言書の作成を行う場合は、自筆証書遺言保管制度を利用し遺言書の存在を信頼できる人に伝えておくと良いでしょう。
また、秘密証書遺言で遺言書の作成を行う場合は、信頼できる人に遺言書の存在と保管場所を教えておく、貸金庫などに保管するなど工夫が必要になります。
遺言はご自身の願いや想いを伝える最後の手紙です。
遺された大切な人に確実に伝えるため、作成した遺言書の保管までしっかり行いましょう。
また、遺言に関して困りごとがある場合や、本人の代理など法の専門家である司法書士・弁護士等もお力になれますのでご相談されることもお勧め致します。
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