空き家を放置すると大変なことに!? 空き家を相続した時の注意点
目次
プロローグ
昨今、増加傾向にある空き家。
空き家とは、長年に渡り誰も済んでいない、電気やガス、水道も使用されていない建物のことをいいます。
国土交通省によると、空き家は過去20年を見て1.5倍に増加しており、防災性・防犯性の低下や景観の悪化、衛生面での悪化などがあり社会問題になっています。
このような空き家は相続で取得する場合が多く、相続で譲り受けたもののどうして良いか分からず放置してしまうというケースが圧倒的です。
今回は、相続で空き家を相続した際のリスクや注意点、対処法などを解説していきます。
空き家を放置するリスク
例えば、ご家族が亡くなってしまい誰も住んでいない実家を相続したとします。
しかし、ご自身にも住まいがあり実家には誰も住むことがなく長い間空き家になってしまうという状況もあります。
長年空き家状態が続いてしまうと倒壊の危険が高まり、また周囲に対する環境にも影響を及ぼしかねません。
そこで、国は2015年5月に「空家等対策特別措置法」を施行。
著しい倒壊の危険や保安上衛生上有害となる状態にある空き家などの場合は「特定空家等」という分類に区分することになりました。
特定空家の定義には、
・倒壊など保安上危険となる恐れがある状態
・衛生上有害となる恐れのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他、周辺の生活環境の安全のため放置することが不適切な状態
など空き家の状態、周辺への影響の程度の両面から判断され罰則もあります。
特定空家に関する罰則
空き家の状態で長年放置していると、自治体が立ち入り調査や所有者の調査に入ります。
空き家の調査を行った結果、特定空家の定義に当てはまる場合には特定空家に指定されます。
特定空家に指定された場合、まず指導が行われます。
指導で改善されない場合には、自治体から勧告を受けます。勧告を受けると「住宅用地の特例措置」の対象から除外されます。
この場合、固定資産税の優遇措置の適用がなくなるため固定資産税額が6倍になる可能性もあります。
さらに、自治体からの勧告で改善されなかった場合には、管理するよう命令が行われます。
この命令に従わなかった場合、命令違反となり50万円以下の過料が発生します。
命令されても改善が見られない場合には、行政代執行※により空き家は解体され更地にされます。
(解体・撤去費用は空き家の所有者へ請求されます)
※行政代執行…特定空家等の所有者に代わり行政が強制して措置を行うこと。
対処法
特定空家に指定された場合、その原因となった箇所を改善することで特定空家から解除されます。
また、特定空家に指定されないためにも、済む人を探す・売却する・撤去する・何かに活用するなど、空き家を放置しない対策が必要になります。
空き家の相続について
そもそも空き家を相続する必要があるの?
と思われる方も多いと思いますが、被相続人(家族)の遺産については資産価値があるものも無いものも相続人が話し合って相続することになります。
資産価値がある空き家の場合であれば、相続した人が住む、売却や賃貸にするということもできます。
しかし、資産価値がない空き家を相続した場合どうして良いか分からず手つかずになり放置してしまうケースも少なくありません。
資産価値がない空き家でも固定資産税などは発生しますし、放置することで特定空家に指定される可能性もあります。
空き家を相続したくない場合には「相続放棄」を行うのもひとつですが、相続放棄を行う場合、遺産分割協議の参加もできなくなり、他の遺産があった場合も受け取れなくなってしまいます。
相続放棄の詳細はコチラをご参考下さい。↓
リンク:(相続放棄と自己破産)
また民法940条では、相続放棄した者は、放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産の管理を継続しなければならない。
と定めてあり、相続放棄をしても空き家の管理における責任を回避することが難しく、根本的な問題の解決にならない可能性があります。
相続土地国庫帰属制度
2023年4月に施行された「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を活用する予定がない、管理が必要だが負担が大きくどうすることもできないなど、相続や遺贈で土地を取得した一定の要件を満たす人が国庫に帰属させることを可能とした制度です。
※一定の要件
相続や遺贈で取得した土地であること
共有名義の土地の場合、共有者全員が同意していること
売却事由に該当している土地ではないこと(建物が建っている土地ではないこと)
空き家の場合、更地にすることが前提になります。
詳細は法務省ホームページをご参考下さい。↓
(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html)
空き家の処分にお困りの場合は相続土地国庫帰属制度を利用されるのもひとつです。
エピローグ
大切な家族から譲り受けた財産が実家の場合、感慨深いものがあります。
その実家を放置してしまい特定空家に指定されるのはとても悲しいことですよね。
まず、特定空家に指定されないよう解決策を見つけることが必要です。
自身で解決が難しい場合は、法律の専門家(司法書士・弁護士等)に相談することも可能ですので、お悩みの際は法律の専門家に相談されることをお勧めします。
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