法的な効力を持った書類「遺言書とは」

2024年1月24日

プロローグ

遺言書は、遺された相続人(例えば家族等)で争いが起きないように、被相続人(亡くなった方)の想いを書面に記したものです。

また、遺言書は法的な効力を持っており、円滑な相続手続きを可能とするためには欠かすことができないものでもあります。

今回は、遺言書について解説していきます。

 

 

遺言書とは

 

遺言書とは、被相続人が生前に財産や家族、相続人などについて様々な意思を書き記す書類で法的に大きな効力を持ち、満15歳以上なら作成が可能です。(民法961条)

※成年被後見人に関しては、医師の資格のある2名以上が立ち会い正常な判断力の回復を確認した場合にのみ遺言をすることができます。

民法上においては、その効力を持たせるため規定通りに文章を作成する必要があります。

しかし、要件を満たさない遺言書は無効となってしまいますので注意が必要です。

財産の種類や、相続人の指定などを分かりやすく記すことで遺された相続人はスムーズに遺産相続を行うことができます。

また、遺言書の種類には普通方式特別方式があり、一般的には普通方式である「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という方法が利用されます。

※普通方式遺言は、ゆっくりと時間をかけて遺言書を作成するものです。

普通方式遺言には「自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言」があります。

※特別方式遺言は、命の危機が迫っている中で緊急に作成する遺言です。

特別方式遺言には「危急時遺言(一般危急時遺言・難船危急時遺言)、隔絶地遺言(一般隔絶地遺言)・船舶隔絶地遺言」があります。

 

 

民法での遺言書の定義と目的

 

遺言書の定義

民法の第960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ執行することができない」と定められています。

これにより遺言書は、民法の規定に従って作成されなければ法的な効力はないということになります。

遺言書を作成する前には、遺言の規定を確認してから作成するようにしましょう。

 

遺言書の目的 

遺言書の目的は人により様々だと思いますが、被相続人が自分の意思を遺すために作成するのが一般的でしょう。

通常、遺言がない場合には民法上の規定通りに相続が行なわれます。

遺言書を作成することで何を誰に譲渡するのかを指定することができ、相続させたくない人の相続権利のはく奪や、遺言執行者を指定することも可能です。

また、相続人も遺言書の存在があると、スムーズに相続手続きを進めることができますし、相続人同士のトラブル回避にもなるでしょう。

同時に、遺留分の規定などの決まりもありますので、必ずすべてが遺言通りというわけにはいかない場合もあります。

遺留分についての詳細はコチラをご参考下さい。↓

リンク先:(遺産の遺留分とは?)

 

 

遺言書で発揮できる効力

 

相続分の指定

民法902条では、被相続人は前二条の規定に関わらず、遺言にて共同相続人の相続分を定めたり、またはこれを定めたりすることを第3者に対して委託することができる。とあります。

つまり、遺言により相続人全員または一部の人に対して、法定相続分とは異なった割合で相続分を定め、または定めることを第3者に委託することができるということになります。

例えば、相続人が妻、子2名(A・B)の場合

通常であれば、法定相続割合は妻1/2、子A1/4、B1/4となります。

しかし相続割合の指定により、妻と子2名の財産を1/3ずつと指定することも可能ですし、妻1/2、子A3/4、B1/4と指定することも可能です。

 

相続人の廃除等 

民法893条では、被相続人が遺言により推定される相続人を廃除する意思表示行っていた際は、遺言執行者はその遺言の効力が発生した後、遅延なく推定される相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。とあります。

つまり、相続人となる予定である人物について、被相続人への虐待や、重大な侮辱などがあった場合は法定の廃除事由というものが認められており、その相続人に遺産を譲りたくない場合には遺言により相続権を消失させることが可能です。

 

また、民法891条では相続の欠格があります。

相続秩序を侵害する非行を行った相続人の相続権をはく奪する制度で、欠格事由は5項目あります。

これに該当する相続人は、被相続人の意思に関係なく相続権をはく奪され相続権が戻ることはありません。

相続の欠格についての詳細はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(相続の基本ルールと相続の欠格について)

 

遺贈に関すること

遺言者の財産は原則、法定相続人(配偶者、子など)に相続されます。

しかし、遺言者は法定相続人とはならないような第三者(お世話になった人等)や団体に対して遺言で相続財産を譲ることができます。

このことを遺贈といいます。

遺贈についての詳細はコチラをご参考下さい。↓

リンク:(遺贈)

 

内縁関係の配偶者と子どもの認知に関すること

仮に、婚姻関係ではない人との間に授かった子がいる場合、遺言者は遺言で認知(正式に自分の子であると認める)することで相続人に加える事が可能です。

 

未成年後見人の指定

遺された子どもが未成年である場合、遺言者は遺言によって未成年後見人を指定できます。また、該当する未成年者の財産管理等を委ねることも可能です。

 

遺言執行者の指定、または指定の委託 

遺言は遺言者が亡くなってから実行されますので、自分が遺した遺言がどうなるのか知る由はありません。

そこで、遺言者は遺言の内容を実行してくれる遺言執行者を指定することができます。

また、遺言執行者の指定を第三者に委託することも可能です。

 

 

遺書(いしょ)と遺言書(ゆいごんしょ)の違い

 

遺書と遺言書は全く別物です。

大きな違いは、遺言書には法的な効力があるのに対し、遺書には法的効力はありません。

遺書に自分の財産の分け方について書いたとしても法的な効力は全く無いといえます。

※遺書が遺言書としての要件を満たしている場合、法的効力が発生する場合もあります。

 

 

エピローグ

 

遺言書は、遺言者が最期の想いを記した書面で、法的に大きな効力があります。

また、遺言書を作成するためには一般的に3つの方法があります。

しかし、規定通りに作成しなければ無効となりますので難しいと感じる方も少なくないでしょう。

遺言書を遺したいけど難しい、どういう風に書いていいのか分からないなど、お悩みの方は法律の専門家に相談してアドバイスを受けることも可能です。

遺言書でお悩みの際は専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

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