相続登記とは?~2024年義務化へ向けてのお話、申請方法と必要書類~

2022年1月19日

プロローグ

たまに耳にする「相続登記」という言葉。
いったい何のことかさっぱり分からないという方も少なくないのではないでしょうか。
相続登記は2024年から申請義務化が施行されます。
それに備えて、相続登記に関する知識や申請の方法などを知っておくことが必要となってきます。

この記事では、「相続登記」とはいったい何なのか、なぜ必要な手続きなのか、申請の際に必要な書類について解説していきたいと思います。

 

相続登記って?

「相続登記」とは、正しくは「相続による所有権移転登記」といいます。
では、相続による所有権移転登記とは何なのでしょう。

「相続による所有者移転登記(相続登記)」とは、土地や建物などの不動産を所有している方が亡くなられた場合に、その不動産を遺産として亡くなられた方から相続人へ引き継ぐ名義の変更手続きのことです。

相続登記に「必ずしなければいけない」という決まりや、「何か月以内にしなければいけない」という決まりは今現在ありません。
しかし、相続登記の手続きをせずそのままにしておくと後に様々な問題が起こる場合があります。

次の項目で問題になり得る具体的な例を解説していきます。

 

問題になり得る事例

・固定資産税
相続登記をしていないで他にも相続人がいる場合、毎年固定資産税を納税していてもご自身の所有になることはありません。

・相続問題
例えば、親・兄弟の家族間のみで相続の話が済んだはずなのに、相続登記をしていなかったばかりに親・兄弟の家族以外の親戚まで相続の話し合いに入ることになる可能性があります。

・売却、融資
故人が残した土地や建物などの不動産が故人名義のままになっている場合、その不動産を売却したり融資を受けたりすることができません。(事前に相続登記を済ませる必要があります)

・居住の問題
故人名義の家屋にご自身が住んでいて、ご自身以外にも相続人がいる場合、相続登記をしていないと将来的に誰がその家屋に住むのかなどを言い争う原因となる可能性があります。

・放置問題
故人の土地や建物などの不動産を相続するつもりがなく放置していた場合、その不動産で問題が起きた時ご自身に賠償請求されるという可能性があります。

幾つかの事例をお話ししましたが、こういったトラブルにならない為にも相続登記の手続きはしておいた方が良いでしょう。

では、相続登記はどうやって申請するのでしょうか。
次の項目で解説していきます。

 

相続登記の申請方法

・相続登記の手続きは、土地や建物などの不動産がある場所が管轄する法務局に申請しましょう。
・申請に関しては、ご自身(相続人)が申請書を作成し申請する方法と、司法書士などの有資格者に依頼して代理申請する方法の2通りがあり、必要な書類を揃え申請します。
また、法定相続分通りに相続する場合/相続人同士の遺産協議分割で相続する場合/遺言書に基づき相続する場合で必要書類が若干違います。

 

法定通りに相続する場合の必要書類

被相続人

(故人)

  戸籍謄本(出生から死亡までのもの)

  住民票/戸籍の附票(本籍が載っているもの)

相続人

  戸籍謄本(法定相続人全員のもの)

  住民票(新名義人になる方全員のもの)

その他

  不動産の評価証明書

  (登記免許税の算出に使用します)

  委任状

  (司法書士などに依頼した場合に必要です)

 

遺産協議分割で相続する場合の必要書類

被相続人

(故人)

  戸籍謄本(出生から死亡までのもの)

  住民票/戸籍の附票(本籍が載っているもの)

相続人

   遺産分割協議書(相続人全員の実印が押印されたもの)

  戸籍謄本(相続人全員の現在の謄本)

  印鑑証明書(相続人全員のも)

  住民票(不動産を相続される方全員のもの)

その他

  不動産評価証明書(登記免許税を算出する際に使用します)

  委任状(司法書士などに依頼した場合に必要です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺言に基づき相続場合の必要書類

被相続人

(故人)

  遺言書(自筆または秘密証書遺言で検認が済んだもの)

  戸籍謄本(出生から死亡までのもの)

  住民票/戸籍の附票(本籍が載っているもの)

相続人

  戸籍謄本(不動産を相続される方全員のもの)

  住民票(不動産を相続される方全員のもの)

その他

  不動産の評価証明書(登記免許税の算出する際に使用します)

  委任状(司法書士などに依頼した場合に必要です)

 

上記の表にまとめましたが、必要書類はケース毎に異なるため、申請前には法務局へ申請方法や必要書類などについて相談しましょう。

 

エピローグ

今回の記事では、「相続登記」がどんなものなのかという事についてお話しました。
相続登記の申請は、必要な種類を揃えるのも困難で複雑な手続きになると思いますので司法書士などの専門家にご相談されることをお勧めいたします。

本文に、相続登記の期限や必ずしなければならないという決まりは今現在ありません。と書いていますが、法改正により相続登記の申請義務化が2024年4月1日から施工されます。
「相続登記の義務化」ですので、必ず行わなければならない手続きということになります。
相続登記の仕組みを良く知り、登記申請に備えておきましょう。

次回の記事では、相続登記の義務化について解説していきます。

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