相続登記の義務化について

2022年2月2日

プロローグ

20214月改正法の成立により202441日から相続登記は義務化となります。

前回の記事では相続登記について、相続登記という手続きがどんなものかということをお話しました。

相続登記とは?~2024年義務化へ向けてのお話、申請方法と必要書類~

今回の記事では相続登記の義務化について、その理由と期限、登記名義人の住所変更などの期限、新設される制度、法改正前の相続について、国庫帰属制度について解説していきます。

 

相続登記義務化の理由

前回の記事で、相続登記には「いつまでに」や「必ずしなければならない」という決まりはありませんが、様々な問題が起こる場合があります。というお話をしました。
これまでは、相続登記の申請は「義務」ではありませんでした。

それでは、なぜ2024年から「義務化」が施行されるのでしょうか。

・所有者が不明な土地問題

相続登記の手続きが義務ではないため、相続登記をしないで放置するといったケースが多く、不動産登記簿でも所有者が分からない、所有者が分かってもその所在が不明といった状況が発生していました。
所有者が分からなくなると、その不動産(土地)が必要な時に売買ができないなどの不都合が生じ、公共事業や再開発・復興事業などの妨げとなっていました。
また、高齢化が進み高齢者が亡くなられることでこの問題が今後ますます深刻化すると予想されています。
そこで、長期間放置され所有者が分からなくなるといったケースを無くすための方法として相続登記の義務化が施行されることになったのです。

 

相続登記義務化の期限について

今回の相続登記の義務化については期限が設けられます。

・相続登記の申請についての期限(2024年4月より施行されます)

「自身が相続の開始を知り、且つ、不動産(土地)の所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を行うことを義務付ける」となっており、正当な理由がなく申請を行わない場合、10万円以下の過料等の罰則が発生することになります。
これは、遺産の相続などで不動産(土地)を相続した場合に、相続を知った日と同時に、所有権を得たと知った日から3年以内に相続による所有者移転登記の申請が必要ということになります。

・登記名義人の住所変更などについての期限(公布後5年以内に施行されます)
登記名義人の住所変更に対しても、現在は義務化してありません。
しかし、改正後は「住所など変更した日から2年以内に変更登記の申請を義務付ける」となっており、正当な理由なく申請を行わない場合、5万円以下の過料等の罰則が発生することになります。
これは、不動産の所有権を持つ名義人に対して、住所に変更があった場合は2年以内に変更登記の申請が必要ということになります。

・相続人申告登記

また、「相続人申告登記」という制度が新設されます。
申請義務のある相続人が法定相続人であることを申し出ることで、相続登記の申請義務の履行が認められるというもので、相続登記の申請義務を簡易的に履行することが可能になるという制度です。
先に申請を行いたい・分割協議が終わっていないなど、理由があるケースに対応したもので、自身が法定相続人であることを申請することにより、申請義務を実行したものとなります。

 

法改正前の相続について

2024年から相続登記の義務化が施行されますとお話しましたが、相続登記の義務化は「相続の開始が施行日前にあった場合についても遡及して適用されます」となっているため、今現在不動産を相続されている方で名義変更の手続きをされていない方も、改正法が施行された日から3年以内、または相続の開始と所有権を得たと知った日から3年以内のいずれか遅い期日で相続登記の手続が必要ということになります。

 

相続土地国庫帰属制度について(2023年4月より施行されます)

相続または遺贈により不動産(土地)の所有権を取得した方が、法務大臣の承認を受けその不動産(土地)の所有権を国庫に帰属させることができるという制度です。
これは、遺産で不動産(土地)を相続されたが、その不動産(土地)を必要としていない・負担感が大きいなどの理由から手放したいと考えている相続人が増加傾向になっていることから今回の制度が新設されることになりました。

 

国庫帰属制度の注意点

国庫帰属の承認を申請する場合、以下に記す項目に該当することが必須となります。
・帰属しようとする土地に建物や構築物がないこと
・通路などに使用されていないこと
・土壌が汚染されていない、埋設物がないこと
・高さ・勾配などの基準に該当しない崖がある土地ではないこと
・その土地の権利等に紛争がないこと
・その土地に担保権等が設定されていないこと
などの要件をクリアしないと承認申請は認められませんので注意が必要です。
また、審査手数料や10年分の土地管理費を納めなければならず、この承認申請は困難なものとなりそうです。

 

エピローグ

今回は、相続登記の義務化についてお話しました。
これまでは相続登記に期日や義務といった決まりごとがあったわけではありませんので、申請せずに放置しても問題がなければ不都合が生じることはありませんでした。
しかし、2024年に義務化が施行されると戸惑う方もたくさんいらっしゃると思います。
今のうちに相続登記をしっかりと理解し、ご自身に相続されている不動産(土地)があるのかどうかを調べておくと良いでしょう。

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