相続の基本ルールと相続の欠格について
目次
プロローグ
「相続」という言葉を聞いたことがあるという方は少なくないと思いますが、「相続の基本ルール」をご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょう。
相続の話なんて先のこと、自分には関係ない、など相続についての結びつきが薄いと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
誰もがいつ相続の手続きをしなくてはならない状況になるか分かりません。
その時に焦ってしまい何をして良いか分からなかった、時間が足りなかった、など後悔してしまわないように、相続の基本ルールを知っておくことも大切です。
また、相続には「相続の欠格」という相続権を失わせる制度や「相続の排除」といったものもあります。
この記事では、「相続の基本ルール」と「相続の欠格」について解説していきます。
相続の基本ルールとは
ご自身の身近な人が亡くなったとき、その亡くなった人は被相続人となります。
被相続人の財産を譲り受けることを相続といい、相続人となった人が譲り受けます。
相続には民法第5編の条文に定められた基本ルールがあります。
以下で説明していきましょう。
・民法で定められた相続人のことを「法定相続人」といいます。
法定相続人には順位があり「配偶者は常に相続人」、第1順位は子、第2順位は被相続人の父母、第3順位は被相続人の兄弟姉妹となります。
・法定相続分
法定相続人は、法定相続分に従って財産を分配します。
この時、配偶者のみの場合は財産の全てを相続し、法定相続人が配偶者と第1順位の子の場合:配偶者1/2、子1/2、配偶者と第2順位の父母の場合:配偶者2/3、父母1/3・配偶者と第3順位の兄弟姉妹の場合:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
と割合が定められています。
※配偶者が法律上の夫婦ではなく、内縁の場合は法定相続人には該当しません。
・相続の承認と放棄
相続の選択肢には、被相続人の財産を放棄する「相続放棄」、相続財産のうちプラスの財産もマイナスの財産も全部譲り受ける「単純承認」、相続財産を限定的に譲り受ける「限定承認」の3つがあります。
上記のいずれかを期限内に決めることになります。
相続の基本ルールには、その他にも遺言や配偶者の居住の権利・遺留分などの条文が定められています。
相続の基本ルールについての詳細はコチラをご参照下さい。↓
リンク:(相続に関する法律)
相続の欠格とは
相続の欠格とは、法律上で該当する相続人の相続権を失わせる制度で遺留分を受ける権利も、遺贈※1も譲り受けることができなくなります。
代襲相続※2は可能です。
※1 遺贈とは、遺言により相続人以外の人でも財産を譲り受けることができるというものです。
遺贈についての詳細はコチラをご参考下さい。↓
リンク:(遺贈)
※2 代襲相続とは、相続人が死亡等何らかの事情で相続を譲り受けることができない場合に、相続人の子や孫がその相続人に変わって財産を譲り受けることです。
相続の欠格事由
・相続に関する、被相続人の遺言書を破棄、偽造、または変造する、隠す
・被相続人が作成した遺言書について、脅迫し撤回させる、変更させる
・被相続人を脅迫して遺言書を作成させる
などがあります。
相続の欠格と排除の違い
「相続の欠格」は、法律上で相続の権利を失うことに対して、「相続の排除」は、被相続人の意思で該当する相続人の相続の権利が失われます。
例えば、被相続人の財産を浪費した、虐待した、侮辱したなど、被相続人に対してあるまじき行為や良くない行動を起こした相続人がいたとします。
その場合、被相続人は生前に自分で家庭裁判所に相続人の排除を申立てを行う、または遺言で該当する相続人の排除を記載するなど、被相続人の意思をもって排除の手続きを行うことになります。
但し、相続人の排除は家庭裁判所で認められた事例は多くありません。
これは、家庭裁判所が排除の審議を慎重に行うため、排除に該当する相続人が意義を申立てるため、という理由があります。
相続の欠格・相続の排除の取り消し
相続の欠格は、一度欠格事由に該当すると取り消しになることはありません。
※欠格になっても、被相続人と話し合い生前贈与という形で譲り受けることは可能です。
相続の排除は、家庭裁判所に相続の排除を取り消し請求する、遺言書に記載してある場合は、遺言書で相続の排除を取り消しもらうという方法で相続の排除を取り消しすることができます。
エピローグ
今回は、相続の基本ルールと相続の欠格・排除についてお話しました。
相続財産という相続の問題が発生すると、目の前にある自分の利益のみを考え良くない行動を起こしてしまう人がいるかもしれません。
または、相続人の中で日常から良くない振舞いの人がいるかもしれません。
そういった相続人に被相続人の大切な財産を渡さないように、相続の欠格や相続の排除という制度があります。
このような相続関連の相談は、法の専門家である司法書士・弁護士等に任せることをお勧めします。
相続の基本と相続の欠格・排除を知り、相続時に後悔のないようにしていただければ幸いです。
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