遺贈寄付とは

2022年8月24日

プロローグ

遺贈と関連していますが、遺贈が遺言に準じて財産を譲渡することに対して、遺贈寄付は遺言に準じて財産を寄付するものです。

違いとして、遺贈寄付は社会貢献に役立てるという部分があり被相続人の想いを寄付という形で贈るだけでなく、節税という部分でもメリットがあります。

この記事では、遺贈寄付について解説していきます。

 

遺贈の詳しい説明はコチラをご覧下さい。↓

(遺贈について)

 

 

遺贈寄付の種類

遺贈寄付には「遺言での遺贈寄付」「相続財産での遺贈寄付」「生命保険や信託などでの遺贈寄付」「香典返し寄付」などがあり、ご自身がどの方法で遺贈寄付を行うかを決めます。

 

遺言での遺贈寄付

被相続人が遺言書で寄付する意思を記載し死後、遺言に準じて寄付を行う方法です。

事前に寄付先の団体(個人)に寄付することを伝えておくことが大切です。

 

相続財産での遺贈寄付

被相続の財産を、相続人が寄付する方法です。

被相続は事前に、相続人と寄付先の団体(個人)に伝えておくことが大切です。

 

生命保険や信託などでの遺贈寄付

生命保険や信託で生じた利益の一部または全部を寄付する方法です。

保険契約や信託の運用・管理を信託銀行などに委任し遺贈寄付を代行してもらいます。

 

香典返し寄付

被相続の死後、遺族が香典のお返しでお世話になった団体(個人)に寄付します。

 

 

遺贈寄付のメリット

遺贈寄付のメリットとしては、相続税の節税効果があります。

相続税の場合、遺産の総額から課税されます。

遺贈寄付を行った場合、寄付控除を差し引いた分に対して課税されるため相続税の課税対象そのものが下がるということになります。

 

例:遺産総額は8,000万円・遺贈寄付200万円

配偶者は亡くなっており、子ども3人が均等に遺産を分割した場合

 

遺贈寄付ありの場合 遺贈寄付なしの場合
資産総額 8,000万円
基礎控除 -4,800万円

(3,000万円+(600万円×相続人3名))

遺贈寄付 200万円 なし
相続税の課税対象 3000万円 3,200万円
相続税額

※1人あたり

10%

(控除なし)

15%

(控除50万円)

相続税総額 300万円

(一人当たり100万円)

330万円

(一人当たり110万円)

上記の通り、遺贈寄付をした場合としなかった場合では相続税額の差が30万円(1人あたり10万円)になり、この差額が相続税の節税効果となります。

※今回は簡単な計算方法で例を挙げましたが、実際の相続税の計算は資産・人数などにより複雑なものになります。

遺贈寄付を行う場合は、相続税に強い専門家(司法書士・税理士など)に相談されることをお勧めします。

 

 

遺贈寄付の注意点

・遺贈寄付する団体(個人)について

遺贈寄付を行う場合、相続税の優遇措置が受けられる団体と受けられない団体があります。

寄付控除に該当する団体は、国の地方公共団体・学校法人・社会福祉法人・財団法人・認定NPO法人等となります。

これらの団体の場合、寄付の領収証を保管し確定申告の際に記載します。

 

優遇措置が受けられない団体に寄付を行った場合、節税効果は受けられませんので注意が必要です。

 

遺留分について

遺留分とは、直系卑属と言われる配偶者・子・親が法律上確保されている相続財産のことです。

遺留分を確保しないで遺贈寄付を行った場合、相続が発生した際に相続人と遺贈寄付先との間でトラブルになる可能性があります。

これでは被相続人の想いが報われませんし、相続人も遺贈寄付先も気持ちが良いものではありません。

遺贈寄付を行う場合には、「公正証書遺言」で財産と財産の振り分け、遺贈寄付先などについて記載するほうが良いでしょう。

 

公正証書遺言についてはコチラをご覧下さい。↓

(公正証書遺言とは)

 

特定遺贈と包括遺贈

「特定遺贈」の場合、「〇〇を□□円遺贈する」というように、具体的に財産の内容や金額を記載します。

「包括遺贈」の場合で「財産の□□分の□を遺贈する」というように、割合のみ記載するとプラスの財産もマイナスの財産も遺贈に含まれるなどのリスクが生じてしまい、法定相続人や受遺者に迷惑がかかってしまう可能性があります。

公正証書遺言に記載する内容としては、特定遺贈を選択した方が良いでしょう。

 

不動産での遺産

土地や不動産などの遺産の場合、「清算型遺贈」を済ませてから遺贈寄付しましょう。

土地や不動産をそのまま遺贈寄付した場合、「みなし譲渡所得」が課税されることがあり、法定相続人や受遺者に納税義務が生じてしまいます。

被相続人の想いがトラブルになる可能性もありますので、遺産が土地や不動産の場合は清算型遺贈を行い現金化してから遺贈寄付をした方が良いでしょう。

 

※清算型遺贈とは、現物の不動産を現金化し税金・諸経費を差し引いて遺贈することを言います。

※みなし譲渡所得とは、不動産など遺贈する場合、税務上「時価で売却した」とみなされ、含み益(値上がり益)の部分について準確定申告(被相続人の申告)で申告しなければならず、その結果法定相続人や受遺者が課税されるというものです。

 

 

エピローグ

今回は、遺贈寄付について説明しました。

遺言により財産の譲渡を指定する遺贈は、理想の形で財産を遺せますし、相続対策のひとつにもなります。

遺贈寄付をお考えの方は、寄付の種類や特定遺贈・包括遺贈の特徴を考慮して、ご自身に合う遺贈寄付の方法を見つけましょう。

また、複雑な手続きになりますので相続に強い専門家(司法書士・税理士など)に相談し、ご自身が望む形の寄付をされることをお勧めします。

 

 

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