相続人がいない場合どうしたら…おひとり世帯の相続について
目次
プロローグ
全国の20代~60代を対象とした単身世帯調査によると、20代から60代の4人に1人は独り暮らしをしているという結果が出ています。
若い世代の人であれば現実的な結果ですが、50代男性で約30%、女性で約16%、60代男性で約10%、女性で約19%の中高年の方が単身世帯という結果も出ています。
高齢化社会といえる日本で70代、80代で独り暮らしをしている方がいらっしゃることを考えると、中高年の単身世帯数はもっと増えるでしょう。
おひとり世帯の理由は、生涯を独身で過ごす方、配偶者との離別や死別で単身世帯となった方など様々だと思います。
いずれの場合もご自身が亡くなった後、財産や相続の問題がどうなるのか気になるのではないでしょうか。
この記事ではおひとり世帯の遺産相続について、いくつかのケースから解説していきます。
法定相続人について
まず、法定相続人についてみていきましょう。
法定相続人とは、被相続人(亡くなられた方)の遺産を相続する、民法で定められた相続人のことを言います。
この場合、配偶者は常に法定相続人となり、子ども、父母・祖父母、兄弟姉妹、甥や姪の順に相続されます。(下図をご参考下さい)
相続人についての詳しい内容はコチラをご覧下さい↓
(相続人の範囲―人)
相続人がいない
相続人がいないといっても様々なケースがあります。
また、相続人がいなくても相続人同様の存在の方がいらっしゃるケースもあります。
いくつかの例を以下で説明します。
配偶者や子供はいないが父母や祖父母は健在というケース
上記の法定相続人順位に従い、配偶者、第1順位である子どもがいない場合は、第2順位である父母・祖父母が相続の対象となります。
兄弟姉妹や甥・姪は健在というケース
第1順位・第2順位ともいない場合、第3順位である兄弟姉妹が相続の対象となります。
また、兄弟姉妹もいない場合で兄弟姉妹に子供がいる場合には、その子供が代襲相続人として相続の対象となります。
配偶者・子供・父母など身内がいない(相続人の不存在)
法定相続人が誰もいない、相続人が相続放棄した、特別縁故者もいないという場合には、その財産は「国庫に帰属」されます。
以下のような流れにより相続人不存在が判断されます。
・家庭裁判所は被相続人が亡くなった事を国が発行する官報により2カ月公表します。
・上記で相続人が現れなかった場合、財産をもらう予定の人(受遺者)や債権者が現れるように2カ月以上の期間を設定し公表します。
・それでも相続人が見つからない場合は、6カ月以上の期間を設定し相続人の捜索を公表します。
・この期間で相続人が見つからない場合、相続人の不存在が決定されます。
※事実婚など、内縁関係の配偶者は相続の対象とはなりません。
この場合は、遺言書を作成して遺産相続を指定しておくことで相続の対象となります。
また、特別縁故者として財産分与の申立てをすることも可能です。
特別縁故者とは
特別縁故者とは、相続人がいない被相続人の財産を、被相続人と特別な関係性のあった方が財産の一部または全部を受け取ることができる可能性があるという制度です。
特別な関係性とはなにかをみていきましょう。
被相続人と生計を一にしていた方
籍は入っていないが、事実婚として夫婦関係があった方。
内縁関係の配偶者との間の子供。
内縁関係の配偶者の連れ子で認知をしている子供。
被相続人を療養・介護していた方
単身世帯の被相続人の身の回りのお世話など、報酬を受け取らずに看護や介護をしていた方。
被相続人と特別な縁故があった方。
被相続人との間に血縁関係はないが、家族同様の特別なご縁※があった方。
※長年お世話になっている人、親子の様な付き合いの人などがあります。
特別縁故者の手続き
特別縁故者は、家庭裁判所での申立てが可能です。
申立て手続きの流れ
・被相続人の相続人捜索期間が満了になるまでに約1年程度の時間を要します。
その満了から3ケ月以内に、被相続人が最期に住んでいた住所地の家庭裁判所に申立てを行います。
・申立書(家庭裁判所のHPに書式があります)、申立人の住民票または戸籍附票を揃え、収入印紙と連絡用の切手を準備し家庭裁判所へ提出します。
この制度を利用して申立て手続きを行った場合、家庭裁判所で状況を把握し、特別縁故者と認められた際には財産の全部または一部が分与されます。
申立て書類は、上記書類の他にも追加書類の提出を求められる場合がありますので、手続きを行う際は、専門家(司法書士・弁護士等)に相談し、書類の作成をお任せすることをお勧めします。
エピローグ
今回は、おひとり世帯の相続についてお話しました。
少子高齢化社会である昨今、中高年の単身世帯は人ごとではなくなってきています。
身内と呼べる人はいないが大切な人は存在するという方は、遺言書や特別縁故者の手続きについて法の専門家である司法書士に相談することも可能です。
ご自身が亡くなっても財産が大切な人へ行き届くように、一度考えられてみてはいかがでしょうか。
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