特殊な状況で作成する遺言書 ~特別方式遺言~

2024年6月19日

プロローグ

皆さんは特別方式遺言という遺言の方法をご存じですか?

一般的に遺言を遺そうと思った場合「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という普通方式といわれる遺言の方法で遺言書を作成されると思います。

しかし、遺言の方法には普通方式遺言のほかに、特別方式遺言という遺言の方法があります。

特別方式遺言は、特殊な状況にある人に対して特別な方式での遺言を認めたものとなっています。

では、特殊な状況とはいったいどういった状況なのでしょう。

 

遺言書についての詳細はコチラをご参照下さい。↓

リンク:(法的な効力を持った書類「遺言書とは」)

 

今回は、特殊な状況で作成する遺言書「特別方式遺言」について解説します。

 

特別方式遺言の方法

 

特別方式遺言には4つの方法があります。

 

危急時遺言

 

疾病や乗船していた船や搭乗していた飛行機が遭難によって命の危機に瀕した人が遺言を遺す遺言の方法です。(臨時遺言ともいわれます)

緊急で遺す遺言のため代書が認められています。

 

一般危急時遺言(民法第976条)

疾病その他の事由によって命の危機が迫った人が遺言を遺す場合は、推定相続人や未成年者以外で証人(3名以上)を選出し、そのうちの1名に遺言の意向を口頭で伝え代書してもらうことが可能です。

また、代書した遺言書は遺言者と各証人に閲覧もしくは読み聞かせ、内容に間違いがなければ証人全員が記名押印し完成となります。

遺言書を作成した場合、20日以内に遺言者の住所がある地域の家庭裁判所に行き「一般危急時遺言の確認手続き」を行う必要があります。

※期限内に確認手続きを行わない場合は無効となりますので注意が必要です。

遺言者が亡くなり効力が発生した遺言については確認手続きの他に「検認手続き」を行う必要があります。

命の危機であったが無事に助かり6ケ月が経過した場合、一般危急時遺言の効力は無くなります。

 

難船危急時遺言(民法第979条)

乗船していた船や搭乗していた飛行機が遭難し命の危機が迫った人が遺言を遺す場合、証人(2名以上)を選び、そのうちの1名に遺言の内容を口頭で伝え代書してもらうことが可能です。

代書した内容に間違いがなければ証人全員が記名押印し完成となります。

また、証人は遭難の危機から脱した後に記憶に基づいて書面にし、記名押印することも可能です。

難船危急時遺言に関しても家庭裁判所で確認手続きが必要ですが、一般危急時遺言とは異なり確認手続きの期限は設けられていません。

遭難の危機から脱した後で確認手続きを行うことが必要です。

 

隔絶地遺言

 

隔絶地遺言は一般社会と隔絶された場合に遺言者が遺す遺言の方法です。

※隔絶とは…遠く離れており一切の関係が経たれ孤立していること。

 

一般隔絶地遺言(民法第977条)伝染病隔離者の遺言

伝染病で行政処分により隔絶を余儀なくされている場合に遺す遺言で、遺言書は遺言者自身で作成します。

遺言の作成には警察官・証人(それぞれに1名ずつ)の立ち会いと、全員の記名押印が必要です。

また、災害や刑務所に服役中でなど一般社会と隔絶された状況の場合も作成可能です。

遺言者自身で遺言書の作成を行っていますので家庭裁判所での確認手続きは不要ですが検認手続きは必要です。

 

船舶隔絶地遺言(民法第978条)在船者の遺言 

船舶での航海中で一般的な遺言を遺すことが難しい場合に作成する遺言の方法で、航海中であれば港に停船している場合でも作成が可能です。

遺言書は遺言者自身で作成しますが、危急時遺言ように危急の状況である必要はありません。

遺言書の作成には船長または事務員(船員)1名と2名以上の証人の立ち会いと、全員の記名押印が必要です。

遺言者自身で遺言書の作成を行っていますので家庭裁判所での確認手続きは不要ですが検認の手続きは必要です。

長期間陸地から隔絶されている状況から無事に脱し6ケ月が経過した場合には遺言書の効力は無くなります。

 

エピローグ

 

今回解説した特別方式の遺言方法のように、命の危機が迫るという緊急事態や一般社会と隔絶された状況は稀だと思います。

しかし、事故や災害はいつ起こるか予測もできません。

特別方式遺言を利用するような状況になるのは回避したいですが、思わぬ事態に直面した場合でも自身の想いを遺す方法があるということを知っていただければと思います。

普通方式遺言は、いつでも、どのタイミングでも作成することが可能で、遺言書を作成した時と状況が変わっても再作成することができます。

一度、遺言についてゆっくり考えてみるのも良いでしょう。

遺言に関して不安や疑問、作成の方法が分からないなどお悩みの場合には、法の専門家(弁護士・司法書士等)に相談することをお勧めします。

 

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