会社の清算とは
目次
プロローグ
会社の経営者が経営権を後継者に引き継ぐことを事業承継といいます。
事業承継には「親族内承継」「社内承継」「M&A」という3つの方法があり、事業は存続されます。
▶事業承継について詳しくはこちらへ。↓
しかし、様々な理由で事業を引き継ぐことができず、会社をたたむ(廃業する)という場合も出てきます。
会社が終了する際には「会社の解散」と「会社の清算」という2つの段階が必要となります。
まず、会社で行っている事業活動をすべて終了する手続き(会社の解散)を行います。
次に、保有している資産や発生した負債などを整理する手続き(会社の清算)を行います。
今回は、株式会社における「会社の精算」について解説していきたいと思います。
会社の清算について
経営悪化や後継者不足などの理由で会社をたたむ(廃業する)ことになった場合、「会社の解散」後に「会社の精算」を行います。
会社の解散が決定すると解散登記を行いますが、その後も法律に定められた流れで様々な手続きを進めることになります。
▶株式会社の解散登記について詳しくはこちらへ。↓
事務所や店舗、工場などを閉鎖して営業を終了し、解散の手続きをしただけでは会社はなくなりません。資産や債権・債務などは残った状態のままだからです。
そのため、会社の保有する財産や負債を整理し、すべてゼロにする法的な手続き(清算)を行います。
会社の解散から清算手続きの流れ
会社を終了する際には、法務局への登記のほか、税務関係の届出、雇用保険・社会保険・労働保険などの手続きを行う必要があります。
〔税務関係〕所轄の税務署、都道府県税事務所、市町村役場など
〔保険関係〕年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署など
その他にも手続きがあり、順序が決まっているため、最初に全体的な流れを把握しておくとよいかもしれません。
<会社の解散から清算完了までの手続き(株式会社の場合)>
➊株主総会の特別決議
解散について株主総会の特別決議を行います。
また、清算人(清算作業を行う人)の選任も行います。一般的に社長が清算人になることが多いです。
➋解散・清算人選任の登記
〈解散日~2週間以内〉
法務局で解散の登記・清算人選任の登記を行います。
解散登記後の会社は、清算を行う目的で存続することになります。
➌税務署などへ解散の届出
各機関へ解散の届出を行います。
➍財産目録・貸借対照表の作成
清算人は財産目録および貸借対照表を作成します。
株主総会の承認が必要です。
➎債権者保護手続き
清算人は債権者保護手続きを行います。
債権者に会社の解散を知らせるため、解散したことを官報公告(※)に掲載する義務があります。広告期間は2か月以上と定められています。
(※)国が発行する機関紙への公告のこと
➏税務署へ解散確定申告書を提出
〈解散日~2か月以内〉
解散確定申告書(事業年度開始日~解散日まで)を提出します。
➐残余財産の確定および分配
会社の財産を換価(現金化)し、すべての債務の支払い完了後、残った財産(残余財産)を株主に分配します。
➑税務署へ清算確定申告書を提出
〈➐残余財産の確定後~1か月以内〉
清算確定申告書(解散後~清算完了まで)を提出します。
また、所得がある場合には納税します。
➒決算報告書を作成
清算事務が終了した後、清算人が決算報告書を作成します。
株主総会の承認が必要です。
➓清算結了の登記
〈➒株主総会で清算事務報告の承認後~2週間以内〉
法務局で清算結了の登記を行います。
⓫税務署などへ清算結了の届出
各機関へ清算結了の届出を行います。
株式会社以外の場合は流れが一部異なります。
また、個人事業主の場合は廃業届の提出などが必要とされますが、会社よりは手続きが少ないです。
清算の方法
会社の財務状況によって、
・負債が残らない場合(資産超過)➡通常清算
・負債が残る場合(債務超過)➡特別清算もしくは破産手続き
と、清算の方法は変わります。
会社の不動産や会社名義の車など、所有していたものはすべて売却が必要です。
それぞれの違いは次の通りです。
〈資産超過(負債が残らない場合)〉
- 通常清算
・会社の資産で残った債務を完済できる場合に行われます。
・清算人が行います。
〈債務超過(負債が残る場合)〉
- 特別清算
・会社の資産で債務を完済できない場合などに行われます。
・裁判所の監督の元で、清算人が手続きを進めることになります。
・株式会社のみ利用可能な方法で、会社法に基づきます。
- 破産
・会社の資産で債務を完済できない場合などに行われます。
・裁判所の監督の元で、破産管財人が行います。
※破産手続きの開始時に、裁判所が破産管財人を選任します。
・株式会社以外の会社・個人企業も対象で、破産法に基づきます。
会社の清算完了までにかかる期間
会社の解散後から清算手続きが完了(清算結了)するまで最短でも2か月半以上かかります。解散後の債権者への官報公告の期間が2か月以上と決まっているためです。
また、保有していた資産や取引先が多い会社の場合、清算の手続きによっては長期化する可能性もあります。
エピローグ
会社の清算は、登記をはじめ税務や社会保険などの手続きが必要です。
各機関への届出が必要となり、書類作成など手続きの準備を行うだけでも時間がかかってしまうかもしれません。
中には期限が決まっている手続きもあるため、スムーズに進めるためには専門家に相談や依頼して行うことをおすすめします。
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