事業承継とは
目次
プロローグ
「事業承継」とは、信頼する人に経営権を引き継ぐという経営者が行う大切な仕事で、会社を経営している人は事業承継を考える時が来るでしょう。
その時のために準備を進めていくことも経営者としての大切な仕事のひとつといえます。
この記事では、事業承継とはどんなものなのかを解説していきます。
事業承継とは
冒頭でもお話しましたが、事業承継とは会社の経営権を信頼する人に引き継ぐことで、「親族内承継」「社内承継」「M&A(合併と買収)」があります。
「親族内承継」親族や血縁者が後継者になり事業を承継する方法です。
「社内承継」社内の役員や従業員が後継者になり事業を承継する方法です。
「M&A」会社の合併・株式の取得・事業の譲渡・資産の買収など、会社や事業の全てまたは一部を取得するという方法です。
どの方法で行うにしても、信頼できる人を後継者に迎えるべく準備しなければなりません。
事業承継のタイミングと事前準備
事業承継に関する調査によると事業承継を考えるタイミングは、経営者が30代後半から40代頃に考え始めるのがベストとなっています。
また、事業承継の移行期間は3年以上の長い時間をかけて進めるという調査結果も出ています。
会社が安定した状況で後継者の能力も高い場合であれば、事業承継を行っても経営はスムーズに運ぶでしょう。
大手企業であれば、優秀な人材の中から後継者を選定し会社を存続していくことも可能だと思います。
しかし、従業員数50名~300名以下・資本金5千万円~3億円以下の中小企業の経営者は、後継者の不在や人材不足、昨今ではコロナ禍の影響により事業承継が先送りになるという現状もあります。
事前準備としては、「会社の経営状況の把握」「後継者の存在」「株名義の整理」「M&Aの理解」「事業承継計画書の作成」などが必要です。
事業承継を行うには、時間を要しますしタイミングも重要になってきます。
早い段階から事業承継を検討し、専門家(司法書士・弁護士等)に事業承継の方法や事業承継に伴うトラブルの回避、事業承継計画書の作成など相談しながら事前準備を始めることが大切です。
※事業承継計画書は、事業承継を行うまでの明確な期日・それまでに行う具体的な事柄・進捗状況などを記載し実行に移していくものです。
事業承継のメリットと注意点
事業承継を検討した際にどういったメリットや注意点があるのかを3種類のパターンでみていきます。
「親族内承継」のメリット
親族での承継は、取引先や金融機関などからの受け入れが比較的スムーズで、長期間で引き継ぎや教育ができるというメリットがあります。
また、株式を含め財産が分散しないため一体的な承継が可能となります。
〈注意点〉
親族間で資産や財産の問題でトラブルが生じやすいという点があります。
「社内承継」のメリット
経営者としての能力がある人が社内に存在する場合には、その人を後継者に選定できます。
長期間在籍している人であれば、経営方針などを大きく変えずに引き継ぎが可能となります。
〈注意点〉
社内でトラブルが起こる可能性があり、親族などを説得するにも時間を要する可能性があります。
「M&A」のメリット
M &Aは、会社の合併、株式の譲渡など合併や買収により承継する方法で、M&Aによる事業承継は増加傾向にあります。
買い手サイドは新規事業の参入、事業拡大などを低リスクで行うことができ、売り手サイドは事業の継続、従業員の継続雇用、創業者の利益確保、サービスの向上などが期待できます。
〈注意点〉
準備不足で自社の役員などの賛同が得られなかった、相手となる会社の候補が見つからない、M&Aの本来の目的を見失ってしまうなどがあります。
M&Aマッチングサービス
上記のM&Aの注意点として、相手となる会社の候補が見つからないとお話しましたが、事業承継を行う手段として、「M&Aマッチングサービス」というインターネット上で相手の会社を探すというサービスがあります。
M &Aマッチングサービスは3種類のパターンがあり、「一般的なマッチングサービス」「アドバイザーの仲介型」「仲介会社の提供型」があり、このサービスで多数の会社と出会うことが可能になります。
「一般的なマッチング」
売りたい会社と買いたい会社がマッチングサービスに譲渡の条件や財務の情報などを提供することで最適な会社の候補を見つけます。
但し、諸手続きや交渉などはご自身で行うか、アドバイザーや仲介会社と契約し交渉を進めます。
「アドバイザーの仲介型」
売りたい会社と買いたい会社がアドバイザーとマッチングし、アドバイザーが最適な会社の候補を探し中立的に交渉を進めます。
「仲介会社が提供しているサービス」
仲介会社がマッチングサービスを提供しており、このサイトでマッチングした場合は仲介会社と契約し、候補となる会社との交渉を進めます。
上記で事業承継のメリットと注意点を説明しましたが、事業承継には相続的な対策や税法上の対策、登記手続きなど様々な問題があります。
特に、経営承継円滑化法といわれる「中小企業における経営の承継円滑化に関する法律」については、遺留分に関する民法の特例・金融支援制度・納税猶予の特例(事業承継税制)という3つの特例が設けられているため、法の専門家である司法書士・弁護士等へ依頼し対応をお任せすることで円滑に進むでしょう。
エピローグ
今回は、事業承継について説明しました。
事業承継を検討していても、後継者がいない、コロナ禍の影響で後回しになるなど、様々な問題で先送りになってしまうことも少なくないと思います。
事業承継は、時間とタイミング、事業承継を良く知ることが必要です。
また、中小企業庁では、事業承継や事業引継ぎなどの新たな取組みへの補助・引継ぎの際の専門家活用費・廃業や再チャレンジ費用など「事業承継補助金制度」や「第三者承継支援総合パッケージ」が設けられています。
この機会に事業承継について考えてみるのも良いでしょう。
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