死後事務委任とは

2022年4月27日

プロローグ

あまり聞きなじみのない「死後事務委任」という言葉。

いったいどういうものなのでしょう?

人が亡くなった後には、役所の手続きや年金手続き、クレジットカード類の解約手続きなど様々な手続きが残されており、これらの手続きは一般的には親族が行います。

しかし、身寄りがない方などは誰も事務手続きを行う人がいないという事態も発生してしまいます。

そういう事態に備えて、生前に親族や専門家(司法書士・弁護士・行政書士)などと委任契約を結び、ご自身に代わって事務手続きを行ってもらうことを「死後事務委任契約」といいます。

 

「死後事務委任契約」を検討した方が良い方

では、どんな場合に死後事務委任契約を検討した方が良いのでしょう。

 

・親族はいるが、事務手続きは直接関りがない人にお任せしたい方

親族の住まいが遠方である、親族にあまり負担をかけたくないなどの理由がある場合は検討されても良いでしょう。

・頼れる親族はいるが高齢のため委任するには不安がある方

親族が高齢で、ご自身の死後事務を行ってもらうのが不安な方は専門家(司法書士・弁護士・行政書士など)に委任されると安心なのではないでしょうか。

・おひとりの方や子供のいないご夫婦など身近に親族がいない方

予め死後事務委任契約を結んでおくと葬儀などを執り行う人が明確になり、遠い親戚やお世話になった介護施設などに負担をかけないでしょう。

・事実婚や同性のカップルの方

法律婚をしていない場合、相続人に該当しないので基本的には死後事務を行うことができません。

そういう場合、パートナーと死後事務委任契約をしておくとお互いが他界した時の備えになります。

 

死後事務委任の契約内容について

死後事務委任契約は、委任者(ご自身)と受任者(委任された人)との契約で決めます。

契約内容としては、次のような項目を委任することが考えられます。

・死亡届の提出

・関係者への死亡の連絡

・火葬許可証の申請・受領

・葬儀、火葬、埋葬、散骨に関する手続き

・供養に関する手続き

・社会保険、国民健康保険、国民年金等の資格喪失手続き

・住居の管理、明け渡し

・病院や施設などの退院、退所手続きや清算

・携帯電話や端末などに記録されている情報の抹消

・各種サービスの解約や清算手続き

・住民票や固定資産税等の納税手続き

などがあります。

死後事務委任契約は委任者の死後に発動する契約ですので後悔のないよう、できるだけ広く委任事項を盛り込んでおくと後から不都合が生じにくくなります。

 

死後事務委任契約を結ぶタイミング

死後事務委任契約を結ぶにあたり、ご自身の意思能力に問題がある場合には契約を結ぶことができません。

委任者に意思能力があるうちに契約を結ぶことが大切です。

スタート時期としては、健康状態が安定して元気なうちに契約を進めておいた方が良いでしょう。

このタイミングを過ぎてしまい、自己判断ができなくなったり、認知症などの症状が出現してしまった場合には死後事務委任契約はできなくなりますので注意が必要です。

 

誰と死後事務委任契約を結ぶのか

死後事務委任契約の受任者に資格等は必要ありません。

しかし、委任した内容が履行される時には委任者は他界されていますので契約内容通りに履行されているかを見届けることができません。

こういったことを前提に、信頼できる受任者を選ぶことが大切です。

死後事務の委任先としては、次の項目の方が考えられます。

・親族、友人、知人

・司法書士

・弁護士

・行政書士

一般的に死後事務は親族が行いますので、親族間で死後事務委任契約を結ぶのは死後事務委任の内容に強いこだわりがある場合だと思われます。

また、死後事務の中には専門家でないと難しい手続きもあり、最終的に受任者が専門家に依頼するという形になってしまう場合もあります。

これらを踏まえ、最初から司法書士・弁護士・行政書士など法の専門家に依頼しておいた方が後々スムーズに進むのではないでしょうか。

また、司法書士・弁護士・行政書士にはそれぞれ専門分野がありますが、死後事務委任契約についてはどの専門家に依頼されても問題ありません。

 

死後事務委任契約の報酬・費用について

・専門家に委任する場合

専門家に委任する場合は、その専門家が提示する報酬を支払うことになります。

・専門家以外に委任する場合

死後事務委任契約の報酬額に決まった金額はありませんので、専門家以外の方に委任する場合は委任者と受任者の双方による話し合いで報酬金額を決めることになります。

・報酬以外の費用

報酬以外にも、葬儀費用などの実費が必要になりますのであらかじめ計算しておくと良いでしょう。

また、死後事務にかかる費用や報酬などは契約締結時に一定の金額を委任者から受任者に預託しておく方法があります。

預託金は葬儀の方法などによって異なりますが、100万円~150万円程度が一般的となっています。

預託された金銭は委任者のものになりますので、受任者は自分の財産とは別に管理します。

専門家へ委任する場合も同様に、事前に預託し必要な場合に備えてもらいましょう。

 

死後事務委任契約書について

死後事務委任契約は、口頭でも成立します。

しかし、契約から履行までに時間が経ち受任者が契約内容を忘れてしまう可能性もあるため契約書を作成することをお勧めします。

契約書を作成する際、委任者が他界された後で万が一のトラブルが起こった場合に備え「公正証書」で作成すると良いでしょう。

死後事務委任契約書を公正証書で作成する場合は、必要な書類と契約書を揃え「公証役場」に行き「公正証書」として署名・押印をします。

※専門家に委任された場合は、専門家が契約書を作成する場合が多いです。

 

エピローグ

今回の記事では、死後事務委任という契約についてお話しました。

「死後事務委任契約」とは、ご自身の死後に発生する葬儀や事務手続きなどの問題を元気なうちに委任契約することです。

死後事務委任契約を利用することで、身近に頼れる人がいない方なども安心して日々を過ごせるのではないかと思います。

関心のある方は是非活用してみてください。

名古屋相続センター
〒462-0843
愛知県名古屋市北区田幡2-12-14 明治安田生命黒川ビル5階

電 車黒川駅1出口から徒歩約1分

お 車駐車場「One Park黒川駅前」をご利用ください

メールでお問合せメールでお問合せ
電話
LINE@LINE@