公証役場で作成する遺言書 普通方式②公正証書遺言についてー後半

2024年4月17日

プロローグ

遺言書の3つの作成方法の1つである公正証書遺言。

この公正証書遺言について、前半では公正証書遺言がどんなものなのかについて、作成手順やかかる費用について解説しました。

後半では、公正証書遺言のメリットと注意点について解説していきます。

 

公正証書遺言のメリットと注意点

 

公正証書遺言のメリットとしては、遺言が無効になることが少ない、紛失の恐れがない、偽造や変造防止、検認不要などがあります。

 

紛失や無効、偽造、変造の防止

公正証書遺言は公正証書に記載された公文書となります。

また、公証人とは国の公務である公証事務を行う公務員です。

遺言者は公証人に遺言の内容を直接伝え、公証人は遺言者から聞いた内容で遺言書を作成しますので遺言書が無効になるリスクが少なく、偽造や変造の心配もありません。

また、作成した遺言書の原本は公証役場で保管されるため紛失の恐れもありません。

※公正証書遺言の原本の保管期限は原則20年ですが、遺言者が生きている間など長期間に渡り保管されることもあり、長い所では30年~50年間保管される場合もあります。

 

相続手続きの際の遺言書の検認が不要

自筆証書遺言では、遺言書を発見した場合相続人に対して遺言の存在をと内容を知らせるとともに、その遺言書の形状や加除訂正がないか、日付、署名などを家庭裁判所で検認することになります。

しかし公正証書遺言では、遺言書を公証役場で保管するため偽造や変造のリスクが無く、検認手続きを行う必要はありません。

そのため、遺言の内容を速やかに実現することができます。

 

注意点

公正証書遺言でも無効になってしまう場合があります

公正証書遺言は、公証人と証人の立ち合いのもとで作成・成立しますので無効となることは稀ですが、無効となるケースもありますので以下で説明します。

 

遺言者が公証人に伝えていない場合

公正証書遺言の作成時には、遺言者は公証人へ直接遺言を伝え作成されていることが前提になっています。(969条3号)

万が一、公正証書遺言の作成に際して遺言者が直接伝えていないと判断された場合、その遺言は無効となる場合があります。

耳の聞こえない人や、口がきけない人については通訳人の通訳による申述や、筆談等々の方法が法律で認められています。

しかし、単に身振りや手振り等々において、遺言の内容を伝えるという行為は原則的に認められておらず、きちんと公証人に伝えなければなりません。

 

証人が不適格者だった場合

公正証書遺言の作成には、証人(2名以上)が必要となります。

しかし、欠格事由に該当する人が証人の場合遺言書は無効になる場合があります。

※欠格事由に該当する人とは、未成年者や推定相続人・受遺者、配偶者、直系血族、4親等以内の親族、公証人の配偶者、公証役場の職員などです。

 

遺言者に遺言能力がなかった場合 

遺言者が、遺言書の作成時に認知症や精神障害と診断されていて、作成当時に判断能力が無かったと診断された場合遺言は無効となります。

 

遺留分は公正証書遺言よりも優先されます

「全財産を○○に譲渡する」といった内容の遺言が問題になることがあります。

相続財産には遺言の存在があっても譲り受けることのできない遺留分という留保分があります。

この遺留分は、相続人が最低限の相続財産を請求できる権利で遺留分を侵害してしまう内容の遺言は、遺留分を侵害している部分については無効になってしまいます。

遺言者の立場であれば、遺言をする際に遺留分のことも考えて作成しましょう。

 

手続きの際に手間がかかります

公正証書は、気軽な制度ではありません。

事前に公証役場へ公正証書遺言を作成したい旨を連絡し、遺言書作成のための日程を調整します。

1回程度から、場合によっては複数回公証役場へ行く必要があります。

他の遺言方法より自分の遺言をしっかり残すことはできますが、手間がかかることは否めません。

 

作成費用がかかります

公正証書遺言の作成(遺言公正証書の作成)には、手数料が発生します。

手数料は1通あたりの方式ではなく、財産の価額や金額などにより異なるため相続財産や相続人の人数によっては手数料が高額になる可能性もあります。

 

公正証書遺言書の書き換えについて

一度作成した公正証書遺言の内容を訂正したい時はどうしたら良いのでしょうか。

公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管されます。

作成者が保管している正本と謄本のみを変更しても意味がありません。

公正証書遺言の場合、内容を訂正したい際は新たに遺言を作成することになります。

※遺言は、常に最新のものが優先となります。

 

エピローグ

 

公証役場で公証人と2名以上の証人が立ち合い公文書で作成する公正証書遺言。

普通方式の3つの遺言方法の中では、遺言者の想いが一番伝わる遺言書です。

しかし、他の遺言書と比べると遺言書が完成するまでに手間や費用がかかるなどのデメリットもあります。

公正証書遺言の作成を検討している方は、公正証書遺言についてメリットや注意点などを良く理解し、難しいと感じたら法の専門家(弁護士・司法書士等)に相談しましょう。

 

 

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