相続財産を受け継がない「相続放棄」と相続財産を受け継ぐ「単純承認・限定承認」
目次
プロローグ
家族が亡くなり遺された人(相続人)で亡くなった人(被相続人)のすべての権利や財産を受け継ぐことを「相続」といいます。
相続財産には、現金や預貯金・株式・貴金属・不動産など様々なものがありますが、一方で借入金や未払金・買掛金・公租公課などマイナスの財産もあります。
そこで、相続財産を受け継ぐ方法には相続放棄・単純承認・限定承認という3つがあり、相続人がどの方法で受け継ぐかを決めることができます。
今回は、相続放棄と単純承認・限定承認について解説していきます。
相続放棄
被相続人の権利や財産すべてを受け継がないことを相続放棄といいます。
遺産分割時に相続財産を受け取らないことが相続放棄と思っている人も少なくありませんが、それは相続放棄ではありませんので注意しましょう。
相続放棄は相続人本人が、被相続人が亡くなったことを知った日から3ケ月以内に相続放棄の申立てを行わなければなりません。
相続放棄とひと言で言ってしまうと簡単なイメージですが、相続にまつわることなので法律上の手続きが必要になります。
被相続人が亡くなられた所在地の管轄の家庭裁判所で申立ての手続きを行います。
【ポイント】
相続放棄の申立てを行う前には被相続人の財産をしっかり把握する
相続が発生した場合、財産の調査を行うことが大切です。同時に被相続人が作成した遺言書の有無も確認することが大切です。
財産調査が3ケ月以内に把握できない場合は、家庭裁判所に「相続放棄のための申述期間延長の申請」を行うことができます。
※家庭裁判所の裁量により延長が認められる場合もありますが、延長が認められない場合もありますので注意が必要です。
相続放棄申述書の作成と必要書類の収集
申述書は裁判所のホームページからダウンロードするか、家庭裁判所でも貰えます。
裁判所HP:https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/index.html
また、必要書類は相続放棄を行う人によって変わります。
家庭裁判所に提出
上記の通り申述書と必要書類の準備ができたら、被相続人が亡くなられた所在地の管轄の家庭裁判所で申立てを行います。
申立てには、裁判所で一定の金額の小為替と収入印紙代を納める必要があります。
金額は裁判所により異なりますのでHPで確認するか、申述する裁判所に確認しましょう。
※裁判所から照会書・回答書が届く場合があります。
裁判所から被相続人の死亡を知った日や経緯、相続放棄の理由などを確認するために照会書や回答書が届く場合があります。必要な項目を記入して返送しましょう。
相続放棄申述受理通知書の到着
相続放棄の申述が受理された場合は、数週間から1ケ月程度で相続放棄申述受理通知書が届きます。
これで相続放棄の手続きは終了となります。
※相続放棄申述受理通知書は1度しか送付されません。再発行もできませんので紛失などには注意しましょう。
単純承認と限定承認
相続が発生した時点で、相続人は単純承認・限定承認・相続放棄のどれかを選択することになります。
ここでは単純承認と限定承認がどんなものかをみていきましょう。
単純承認
単純承認は被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することです。
相続人であることを知った日から3ケ月以内に限定承認・相続放棄の手続きを行わなかった場合、自動的に単純承認となります。
※みなし単純承認…相続人が相続財産を処分してしまった場合や、故意に相続財産を隠したり使ったりした場合は単純承認したことになります。
この場合、相続放棄や限定承認の手続きが終わっていても無効となりますので注意が必要です。
限定承認
限定承認はプラスの財産の範囲でマイナスの財産を受け継ぐ方法で、遺された財産以上に責任を負うことはありません。
プラスの財産よりマイナスの財産が少ない場合は、残りの財産は手元に残ります。
反対に、プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は、プラスの財産を限度としてマイナスの財産を相続することになりますので、実際に受け継ぐ相続財産は何も無いということになります。
相続放棄と限定承認の比較
※被相続人の財産を限定承認で相続した場合は、被相続人から相続人に対するみなし譲渡となります。
相続財産を限定承認で相続すると、税法上は被相続人が相続人に資産を時価で譲渡したとみなして譲渡所得を計算します。
財産に不動産や株式など価格が変動するものがあれば、実際に売却しない場合も含み益に所得税が課税されます。
エピローグ
相続手続きは、ほとんどの人が関わる手続きです。
いざという時は相続について深く考えなければならず、3ケ月という短い期間で終えなければなりません。
また相続放棄や限定承認を行う場合、相続財産に触れないということも重要なため相続に関して不安やお悩みがあれば法の専門家(弁護士・司法書士等)に相談されることをお勧めします。
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