相続登記のルール改正で義務化に!放置できない相続登記

2025年2月19日

プロローグ

2021年4月改正法の成立により2024年4月1日から相続登記は義務化がスタートしました。

前回は、相続登記について、申請についてなどを解説しましたが、今回は相続登記の義務化に関して、その背景や理由、手続きの期限、登記名義人の住所変更などの期限、新設される制度、法改正前に発生した相続の取り扱い、国庫帰属制度について解説します。

 

相続登記義務化の理由

2024年4月1日以前の相続登記申請は「義務」ではありませんでした。

前回は、登記手続きに関して「いつまでに行うべきか」や「必ずしなければならない」という決まりはないものの、放置することで様々な問題が生じる可能性があることをお伝えしました。

では、なぜ2024年から「義務化」が施行されたのでしょうか。

 

所有者が不明な土地問題

これまで相続登記は義務ではなく、所有者が亡くなった後に相続登記が行われず放置するといったケースが多くありました。

そのため不動産登記簿でも所有者が分からない、所有者が分かってもその所在が不明といった所有者不明土地という問題が全国であります。

所有者が分からなくなると、その不動産(土地)が必要な時に売買ができないなどの不都合や、公共事業や再開発・復興事業などの妨げ、周辺環境の悪化など厳しい現状となっていました。

また、高齢化が進み高齢者が亡くなられることでこの問題が今後ますます深刻化すると予想されています。

そこで、長期間放置され所有者が分からなくなるといったケースを無くすための方法として、2021年に法改正が行われ従来は任意とされていた相続登記は2024年4月に義務化されました。

 

 

相続登記義務化の期限について

相続登記の義務化には申請の期限が設けられます。

「自身が相続の開始を知り、且つ、不動産(土地)の所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を行うことを義務付ける」となっており、正当な理由がなく申請を行わない場合10万円以下の過料等の罰則が発生する可能性があります。

これは、遺産の相続などで不動産(土地)を相続した場合に、相続を知った日と同時に、所有権を得たと知った日から3年以内に相続による相続登記の申請が必要ということになります。

 

登記名義人の住所変更などについての義務化

2026年4月1日から不動産の所有がある登記名義人の住所や氏名(商号や本店など)の変更があった場合は、2年以内に変更登記の手続きを行うことが義務化となります。

登記名義人の住所などの変更に対しても現在は義務化ではありません。

しかし、改正後は「住所など変更した日から2年以内に変更登記の申請を義務付ける」となっており、正当な理由なく申請を行わない場合、5万円以下の過料等の罰則が発生する可能性があります。

 

相続人申告登記

2024年4月に施行された相続登記の義務化に伴い、相続人申告登記がスタートしました。

相続人申告登記制度は、相続が発生したこと、自分が相続人であることを登記所(登記官)に申し出ることで、相続登記の義務を果たしたとみなされる仕組みです。

相続登記が義務化されたことで不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をする必要があり、もし怠った場合には10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。

しかし、相続関係が複雑なケースや遺産分割協議が終わっていないなど、すぐに正式な相続登記ができない場合も少なくありません。

そこで、理由があるケースに対応した「ひとまず相続人としての義務を果たした」と認められる方法として、この相続人申告登記制度が設けられました。

何らかの事情がありすぐに相続登記をできない場合は、相続人申請登記制度を利用しましょう。

 

法改正前の相続について

2024年4月から施行された相続登記の義務化ですが、この法改正では「相続の開始が施行日前にあった場合についても遡及して適用されます」となっています。

したがって、今現在不動産を相続されている方で名義変更の手続きをされていない場合も、改正法が施行された日から3年以内、または相続の開始と所有権を得たと知った日から3年以内のいずれか遅い期日で相続登記の手続が必要ということになります。

2024年4月1日以前

相続の開始・所有権の取得を知った

2024年4月1日から3年以内(2027年4月1日)に相続登記を行わなければなりません
2024年4月1日以降

相続の開始・所有権の取得を知った

相続の開始・所有権の取得を知った時点から3年以内に相続登記を行わなければなりません

 

 

相続土地国庫帰属制度について

2023年4月27日からスタートした相続土地国庫帰属制度。

相続または遺贈により土地の所有権を取得した方が、法務大臣の承認を受けその土地の所有権を国庫に帰属させることができるというもので、簡単にいうと国が相続した土地を引き取るという制度です。

この背景には、遺産で土地を相続されたがその土地を必要としていない、負担感が大きいなどの理由から手放したいと考えている相続人が増加傾向になっていることが理由で、将来所有者不明の土地が発生するのを防ぐためこの制度が新設されました。

注意点

国庫帰属の承認を申請する場合、以下に記す項目に該当することが必須となります。

・帰属しようとする土地に建物や構築物がないこと

・通路などに使用されていないこと

・土壌が汚染されていない、埋設物がないこと

・高さ・勾配などの基準に該当しない崖がある土地ではないこと

・その土地の権利等に紛争がないこと

・その土地に担保権等が設定されていないこと

などの要件をクリアしないと承認申請は認められませんので注意が必要です。

また、審査手数料や10年分の土地管理費といった負担金を納めなければなりません。

 

 

エピローグ

これまで相続登記に期日や義務といった決まりは無く、申請せずに放置しても問題がなければ不都合が生じることはありませんでした。

しかし、所有者不明の土地の増加などの理由から相続登記が義務化となり戸惑う方もたくさんいらっしゃると思います。

相続登記をしっかりと理解し、ご自身に相続されている不動産(土地)があるのかどうかを調べておくと良いでしょう。

また、相続登記の手続きに関しては法律の専門家である司法書士・弁護士等に相談されることをお勧めします。

名古屋市に事務所を構えます【名古屋相続センター ゆう司法書士事務所】です。

当事務所は、相続に強い司法書士事務所として、専門的な知識と寄り添う想いであなたにとってより良い相続になるようにサポート致します。

 

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また、相続登記の義務化に伴うお手続きや、不動産売買などのご相談も承っております。

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