相続手続きの時慌てないために~相続に関する名義変更~
目次
プロローグ
大切なご家族が亡くなられた時、ショックや喪失感で現実を受け入れるのにも時間がかかると思います。
しかし、深い悲しみの中でも進めなければならない手続きがあり、何から始めれば良いのか、期限はいつまでなのかなど忙しさに追われて疲れてしまうこともあります。
そこで、今回は皆さんが少しでも精神的な負担を減らせるように必要な手続きについてご紹介したいと思います。
名義変更の前に必要な故人の戸籍謄本
名義変更で必要になる書類で一番大事な書類が戸籍謄本ではないでしょうか?
戸籍謄本は、家族の戸籍に関するすべての情報が記載された公的な書類です。
個人の出生、結婚、離婚、死亡などの重要な出来事が戸籍に記録されており、戸籍謄本はその全体を確認できるもので、市区町村の役所で発行可能です。
相続に関する名義変更で必要な戸籍謄本の取得について
まず、自身の戸籍謄本を取得します。(亡くなった家族との証明を示す書類として使用する為)
故人の本籍地のある市区町村役場に、相続手続で故人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要なことを伝えます。
※被相続人の本籍地が移動している場合は、移動している場所の役所に戸籍謄本の請求をします。
窓口申請に必要なもの | ・市町村所定の戸籍交付申請書
・本人確認書(マイナンバーカード・運転免許証・住民票など) ・故人の家族と分かる戸籍謄本 ・印鑑 |
郵送での申請に必要なもの | ・市町村所定の戸籍交付申請書
・本人確認書(マイナンバーカード・運転免許証・住民票など) ・故人の家族と分かる戸籍謄本 ・返信用封筒(切手貼付) ・定額小為替 |
※家族以外の方が申請される場合、家族の委任状が必要になります。
相続に関する名義変更
遺言書が遺されていた場合や、遺産分割協議が行われ遺産分割が完了した場合の相続の手続きには名義変更が必要な財産があります。
例えば、不動産・銀行口座や証券口座・自動車などには必ず名義変更が必要です。
相続不動産の名義変更
相続された不動産の名義変更の事を相続登記といいます。
相続登記の流れは相続人が法務局または登記所に必要書類(書類の収集に1ケ月~3ケ月程度の時間を要すことがあります)を提出します。
相続登記は2024年4月から申請が義務化となっていますので、相続で不動産を取得した相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。
相続登記についてはコチラをご参照下さい。↓
リンク:(相続登記とは?~2024年義務化へ向けてのお話、申請方法と必要書類~)
必要書類と入手先
必要書類は、収集が完了した段階で法務局または登記所に提出します。
通常、提出後1週間程度で名義変更は完了します。
法務局または登記所 | ・不動産の登記事項証明書(登記簿謄本登記簿謄本) |
市役所または区役所 | ・不動産の固定資産評価証明書(名義変更の申請をする年度のもの)
・故人の戸籍謄本・除籍謄本・住民表除票(戸籍の附表) ・相続人になる人の戸籍謄本・住民票・印鑑 |
※相続人が法定相続人以外の人の場合、印鑑証明書と遺産分割協議書が必要になります。
※遺言書の有無・遺産分割の有無で法務局に提出する書類は変わります。
相続登記で気を付けること
故人の名義のまま不動産を放置してしまうと「売りたい時に売れない」「固定資産税払い続けても自分の所有にならない」など様々なトラブルの元になってしまいます。
また、相続登記の際は相続人同士で共有財産にすることは避けましょう。
※共有で相続すると不動産を改築、賃貸などをする場合、相続人全員の許可が必要になるので手続きが複雑になります。
共有で相続する場合は不動産の売却を行い、相続人同士で相続財産の分割をする場合のみにしましょう。
銀行口座/証券口座の名義変更・払い戻し
銀行口座の場合…銀行に相続の申出を行い、提出された書類が確認された後に口座が凍結されます。
書類が整い、相続手続きが完了した時点で名義変更や口座からの払戻しが可能になります。
証券口座の場合…証券会社に相続の申出を行い、口座が凍結されます。
書類が確認された時点で名義変更、もしくは相続人の間で分配となります。
※銀行や証券会社によって手続きが異なりますので事前に確認するとスムーズに進められます。
口座が凍結されるため早めに手続きを開始することが大切です。
また、故人が株式投資やFX、投資信託などの取引をしていた場合は、これらも財産になりますので名義変更の手続きが必要です。
必要書類は基本的に銀行口座の場合と同じですが、故人が取引きしていた証券会社の口座がある支店での手続きになります。金融機関によって手続きの方法が変わるので直接問い合わせてみましょう。
残高証明書と凍結の解除
銀行口座は口座の名義人が亡くなったと金融機関側で確認された場合、相続手続きが終了するまで凍結されます。
凍結の解除手続きを済ませるまでは預金を引き出すことはできなくなるため、残高証明書の取得をして預金残高を把握しておいた方が良いでしょう。
残高証明書の取得にも時間を要する場合がありますので、早めに必要な書類を揃えて申請しましょう。
残高証明書の申請に必要な書類
故人の預金通帳・キャッシュカード・残高証明書発行依頼書
故人の戸籍謄本、除籍謄本
相続人と故人の関係が分かる戸籍謄本、遺言書など
本人確認所(マイナンバーカード・免許証など)
相続人の実印、印鑑証明書
凍結の解除
凍結の解除には、遺言書がある・遺産分割協議書がある・どちらもないという3パターンで必要書類が変わります
遺言書がある場合 | ・相続対象の預金通帳・預金証明書・キャッシュカード
・遺言書の原本・検認調書・検認証明書 ※自筆証書遺言・校正証書遺言の場合、検認調書・検認証明書は不要です。 ・故人の戸籍謄本 ・相続人の戸籍謄本 ・相続人の実印・印鑑証明書 ・相続人の身分証明書(マイナンバーカード・免許証など) |
遺産分割協議書がある場合 | ・相続対象の預金通帳・預金証明書・キャッシュカード
・遺産分割協議書 ・故人の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の署名と実印・印鑑証明 |
遺言書なく
遺産分割協議書もない場合 |
・相続対象の預金通帳・預金証明書・キャッシュカード
・故人の戸籍謄本・除籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・相続人全員の署名と実印・印鑑証明 |
※『全部事項証明書』とは、現時点まで全ての登記事項が記載されている法務局が管理する書類です。
金融機関によって必要書類が違う場合もありますので、事前に取引銀行に問い合わせをして必要な書類を揃えましょう。
葬儀費用などで生活がピンチに!?でもあきらめないで!!
相続人が葬儀費用や生活費など必要な費用の払い戻しが受けられるよう、2019年7月の民法等改正により遺産分割前でも払い戻しが受けられる「預貯金の払い戻し制度」が設立されました。
家庭裁判所を経由せず、相続人全員の戸籍謄本、または全部事項証明書・被相続人の除籍謄本・預金の払戻しを希望する相続人の印鑑証明書があれば、1金融機関あたり最高150万円まで、口座残高の3分の1までが遺産分割前の払い戻しを受けることが可能です。
※払い戻された預金は後日の遺産分割において、 払戻しを受けた相続人が取得するものとして調整が図られることになります。
自動車の名義変更
自動車の所有者が亡くなった時点で、自動車は相続人全員の共有財産になります。
遺産分割協議で自働車を取得した相続人は、名義変更を行い正式に自動車を引き継ぐことになります。
必要な書類
・自動車検査証・自動者保管場所証明書
・故人の戸籍謄本または除籍謄本
・遺産分割協議書(相続人全員の署名と捺印があるもの)
・相続人全員が記載された戸籍謄本または全部事項証明書
・新たに所有者になる方の印鑑証明書・実印
・新たな所有者以外の相続人全員の譲渡証明書(実印を押印したもの)
※必要な書類はケースによって異なることがあるので、事前に管轄の運輸支局に確認することをお勧めします。
エピローグ
今回は、相続の時に慌てないために必要な名義変更の内容を簡潔にまとめさせていただきました。
相続に関する手続きで期限のあるものは思いのほか多く、何から始めていいのかも分からない状況になると思います。
相続に関する手続きで期限があるものについての詳細はコチラからご参照下さい。↓
リンク:(その手続き、期限は大丈夫? 相続手続きで特に気を付けたい期限)
普段からご家族での話し合いができているかも大切です。
一度、ご家族で相続について話し合ってみるのも良いですね。
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