遺言書とは ①

2021年7月6日

プロローグ

遺言書は、残された相続人同士が争わないように、そして、被相続人(亡くなった方)が最後の想いを書面に記したものです。
また、より簡易的でスムーズに相続手続きができるようにするためには、欠かすことができないものでもあります。
これから、この遺言書についていくつかの記事に分けていきながら、一緒に見ていきたいと思います。

 

遺言書とは

遺言書とは、死後の財産の処分の方法や遺言書の指示を誰に実行してほしいかや、誰に未成年の子どもの世話をしてほしいかなどを明記した法的な書類のことです。

民法上、効力を持たせるためには規定通りに文章を作成する必要があります。
方式に反する遺言は無効になります。
満15歳以上なら遺言を残すことができます。成年被後見人に関しては、医師2名以上が立ち会い、正常な判断力回復を確認した場合のみ、遺言をすることができます。

 

遺書と遺言書の違い

遺書と遺言書は同じものだと思われるかもしれませんが全く別物です。
遺言書は遺産の分け方を示した法的な書類になります。遺書は死ぬ間際に自分の気持ちを伝えるための手紙です。

遺書に自分の財産の分け方について書いても法定効力は無いです。
しかし、遺書が遺言書としての要件を満たしている時は法的効力が発生します。
このように違いがありますので注意してください。

 

民法での遺言書の定義

民法の第960条に「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められています。これにより遺言書は民法の規定に従って作成されなければ法的効力はないということになります。

民法では「遺言の効力」、「遺言の方式」、「遺言の取消」、「遺言の失効」など、遺言に関する色々な規定が定められています。
民法で定められた遺言の要件を満たさなければ法的効力はありません。ですから、遺言書を作成する前に遺言の要件を確認するようにしてください。

 

遺言書の目的

主な目的は、被相続人の最終意思を遺産処分に反映させることです。

日本の相続規定は、任意規定が多いため、遺言制度を設けたといわれています。
同時に遺留分規定などの規定もありますので、必ずすべてが遺言通りというわけにはいかない場合もあります。

遺言書による相続は、原則として遺言書の通りに行われます。再分割などの協議は、そのあとに行われることになります。
遺贈などの方法で、相続人以外に遺産の一部を贈ることも可能です。

遺言がない場合、民法上の規定通り法定相続が行われます。

 

遺言書で発揮できる効力

 

相続人の廃除等

相続人になる予定の人について、被相続人への虐待もしくは重大な侮辱、その他の著しい非行などの法定の廃除事由が認められて、その相続人に遺産を渡したくない場合は、当該相続人の相続権を消失させることが可能です。(民法第893条)

遺言による推定相続人の廃除(第八百九十三条)
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言の効力が生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

相続人の欠格事由 第八百九十一条
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人または相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、もしくは至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。
ただし、その者に是非の弁別がない時、または殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関係する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺もしくは強迫によって、被相続人に相続に関係する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

相続分の指定等

遺言書では、法定相続分に関わらず、遺産の取り分を、遺言者が自由に決めることが可能です。

(例) 妻が一人で子供が二人いる場合
法定相続分:
妻(遺産の二分の一)
子1(遺産の二分の一×二分の一=四分の一)
子2(遺産の二分の一×二分の一=四分の一)

遺言による指定:
妻(遺産の四分の一)
子1(遺産の八分の五)
子2(遺産の八分の一)

(遺言による相続分の指定)第九百二条
1 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第3者に委託することができる。
2 被相続人が、共同相続人中の1人若しくは数人の相続分のみを定め、またはこれを第三者に定めさせたときは、ほかの共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

 

遺産分割方法の指定と分割の禁止

遺言者は遺産分割の方法を決められることも民法第908条で明言されています。

遺産分割方法を決めるのを第三者に委託することもできます。さらに、相続開始から五年を超えない期間で、遺産の分割を禁ずることも可能です。

遺産分割では揉めることが多いので、冷却の期間を設ける意味合いもあります。

 

遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止|第九百八条

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第3者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

 

相続財産の処分(遺贈)に関すること

遺言者の財産は原則、法定相続人(配偶者、子など)に相続されます。

しかし、遺言者は、法定相続人にならない第三者(例えば愛人、お世話になった人など)や団体に対して、相続財産を遺贈する事が可能です。

 

内縁の妻と子の認知に関すること

婚姻をしていない女性との間に出来たいわゆる“隠し子”がいる場合、遺言者は、遺言によってこれを認知する(正式に自分の子であると認める)ことで、子として相続人に加える事が可能です。

 

後見人の指定

残された子が未成年であり遺言者の死亡により親権者が不在でいない場合、遺言者は第三者を後見人とすることで当該未成年者の財産管理等を委ねる事が可能です。

 

相続人相互の担保責任の指定

遺産を相続したのに財産が他人の物であったり、欠陥があったりした場合、法律上ほかの相続人は担保責任を負うことになります。
遺言者は、当該担保責任の負担者や負担割合に関しても、遺言により指定する事が可能です。

 

遺言執行者の指定または指定の委託

遺産相続の結果、相続財産の名義変更が生じる場合は、預貯金の名義の変更や土地の変更登記のように事務手続きが必要となる可能性があります。
遺言者は、このような遺産相続を実施する時に必要となる手続を行う人(遺言執行者)を指定したり、第三者に指定を委任したりすることができます。

 

遺言書の種類

ここからは遺言書の種類についてです。

図にあるように色々な種類があります。

ここから後の記事では、上記の各々の中身について、詳しく見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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