相続の範囲-モノ(相続財産)

2021年4月26日

プロローグ

「相続財産」とは、故人から相続人へ引き継がれるすべての資産・負債・権利義務のことを言います。
相続というと、一般的には故人の現預金や不動産など、金銭的価値のあるプラスの財産を想像されると思いますが、借金や未払い金などマイナスの財産も引き継がれます。

相続が始まったら、まずは相続財産を調査し「相続の対象になるもの(プラスの財産とマイナスの財産)」「相続の対象にならないもの」を分類して、相続財産の内訳を把握することが大切です。
どのようなものが相続の対象になるのかご説明します。

 

相続の対象になるもの

 

 

相続人が相続できるものは、現金、預金、貴金属、不動産などの財産的価値のある「プラスの財産」と、故人の借金など「マイナスの財産」です。
中には相続財産に含まれるのか判断に迷うものもあります。

 

△プラスの財産

文字通り相続人にとってプラスになる財産です。相続財産というと、一般的にはこちらを想像するのではないでしょうか。

以下が当てはまります。

 

 

△マイナスの財産

借入金や未払い金など、相続人にとってマイナスになる財産のことです。

以下が当てはまります。

 

 

保証債務については損害賠償責任にも同じことが言えます。
亡くなった人が交通事故の加害者だった場合、損害賠償責任を相続人が引き継ぐことになります。

このようにマイナスの財産を相続してしまったら、引き継いだ人が弁済する義務が発生してしまいます。
マイナスの財産を相続したくない場合については後ほど触れます。

 

相続の対象にならないもの

 

故人の財産の中には相続の対象にならないものもあります。

▼被相続人の一身専属的なもの
一身専属的なものとは、被相続人だけが持つ権利・資格・義務のことです。以下に具体例を挙げます。

・生活保護受給権、年金受給権、扶養請求権などの権利
これらは被相続人個人が要件を満たしていた権利なので、被相続人の死亡によって消滅します。

・運転免許や国家資格など、被相続人の持っていた資格
被相続人個人の持っていた資格は相続できません。
他にも身元保証人としての地位、また、使用貸借における際の借主の地位等、さらに本人の責めに帰すべき罰金等も一身専属的なものにあたります。

・お墓、仏具、仏壇など
これらは祭祀財産と呼ばれ、祭祀を主催する者が引き継ぐため、相続財産にはなりません。
ただし、仏壇・仏具に関しては「日常的に礼拝しているもの」が条件です。
美術的に価値が高いものは美術品とみなされ、相続税の課税対象になる場合があります。

・生命保険金、死亡退職金など
生命保険金は受取人固有の財産であると考えられているため、生命保険金の受取人が相続人であったとしても、一般的には相続財産には含まれません。

ただし、受取人が相続人である場合には、「みなし相続財産」として相続税の課税対象に含まれます。
また、遺族年金は受給者である遺族の固有の権利であるため、相続財産とはならず相続税もかかりません。

 

マイナスの財産を相続したくない場合

 

プラスの財産とマイナスの財産があり、相続したくないと考えた場合に取れる方法が2つあります。

 

限定承認

プラスの財産でマイナスの財産を弁済し、もしマイナスの財産が残ってしまった場合には、それでも相続人は弁済の責任を負わなくてもよく、プラスの財産が残った時にのみ相続するという方法です。

 

相続放棄

こちらはプラスの財産もマイナスの財産も全て相続しないという方法です。

相続放棄や限定承認をしようと思ったなら、相続の開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。
相続放棄は各相続人単独で行うことが可能ですが、限定承認は相続人全員が共同で申し立てる必要があります。

何もせずに3か月経過すると「単純承認」したことになり、マイナスの財産を含む全ての財産を相続することになります。

 

相続財産の調査

 

 

相続財産とはどのようなものか把握できましたか?
相続が始まったら、まずはあなたの相続財産の調査をしなければなりません。
相続財産の調査は「死亡から3か月以内」と期限が決められているため、早めに行動することをおすすめします。

以下に主な相続財産の調査方法をご説明します。

 

不動産

自宅内で「登記識別情報通知」と「固定資産税の課税通知書」を確認してから、法務局において不動産の登記事項証明書を取得します。

もしも複数の不動産があるケースの場合には、役所で「名寄帳」を申請すると状況を把握しやすくなります。
名寄帳とは、役所が管理している固定資産税課税台帳で、ここには地域内の不動産とその所有者がまとまっています。
相続人でありさえすれば、コピーを取得できますから、不動産がある所管の市区町村役場での申請をしましょう。

 

預貯金

自宅に保管されている証言や通帳をチェックして、どこの金融機関を利用していたか調査しましょう。金融機関の通帳やカード、メールや手紙から特定します。

次に各金融機関へ申請して、「相続開始時点における残高証明書」や「相続発生前後の取引明細書」等を取得します。
残高証明書により、普通預金・定期預金・投資信託などのすべての残高や利用状況を確認できます。

カードや通帳がなく金融機関がわからなかったり、自分たちですべての金融機関を回ったりすることが大変でしたら、司法書士など専門家に任せることも可能です。

 

株式・有価証券

株式や有価証券に関する書類やメールがないか探し、取り引きをしていた証券会社等を調べましょう。
もし判明したら、各証券会社等へ取り引き状況の内容を照会してから、「取引残高報告書」を発行してもらいます。

証券会社がわからない場合等においては、株式の管理をしている信託銀行等の「株式名簿管理人」に問い合わせをしたり、「証券保管振替機構(ほふり)」に紹介したりすれば情報を取得できます。
ほふりへの紹介は郵送にて可能です。

 

保険

自宅に保険証書がないか確認し、保険会社から郵送された郵便物が届いていないかを、まずはチェックしましょう。
生命保険や火災保険などの保険額は調査が必要です。

また、通帳内の引き落とし履歴やクレジットカード等の利用明細からも、保険額が判明することがあります。
加入先の保険会社がわかったら契約情報の照会を行いましょう。

 

借金

通帳からの引き落としや契約書、債務者から届いた請求書等の郵便物、各種利用明細書などを確認して、借金がないか確認しましょう。

それでも借入状況がわからない場合は、各信用情報機関等へ情報の公開請求をしたりするなら、現在の借入状況を把握することができる可能性はあります。

また、住宅ローンも相続対象になりますので見過ごさないよう注意が必要です。

 

 

△各相続財産の問い合わせ先がわかったら何をするか?

 

もし、各相続財産等の問合せ先がわかったなら、必要書類を用意して調査しましょう。
必要書類は各請求先によって異なりますので、ご自身で問い合わせして確認すると確実です。

一般的な必要書類は以下に列記します。

 

・被相続人の死亡を証明する戸籍謄本

被相続人が亡くなっていることが確認できないと、相続人からは請求できません。

 

・請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本

相続人からの請求であることを確認してもらうのに必要です。

 

・相続財産(遺産等)の資料がわかるもの(通帳や手紙等)

資料があった方が、問い合わせ先にとっても確認しやすく、スムーズに進みます。

 

・その他本人確認資料

免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書がよいでしょう。

相続財産を調査するには、被相続人が亡くなったことと、自分が相続人であることを証明する必要があるのです。
そのために自分の身分証や資料を提出する、という意味合いがあります。

 

エピローグ

相続財産には「プラスの財産」「マイナスの財産」「相続の対象にならないもの」があることがおわかりいただけたでしょうか。
相続財産を把握することで、その後の相続手続きがスムーズに進みやすくなります。

相続財産の調査は、死後3カ月以内という期限があるうえ、最初からすべての財産を把握している人は少ないと思いますので、自力での手続きが困難に感じたら、ぜひ専門家の手を借りましょう。

 

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